阿蘇大橋 復旧は長期化の見通し

阿蘇大橋 復旧は長期化の見通し
地震による土砂崩れで崩落した南阿蘇村の阿蘇大橋周辺では、斜面のさらなる崩落を防ぐための工事が行われていますが、橋の復旧までには長い時間がかかる見通しで観光などへの影響の長期化が懸念されています。
全長200メートル余りの阿蘇大橋は、生活道路としてだけでなく観光の玄関口としても使われ、1日におよそ8000台の車が行き交う重要な橋でしたが、先月16日の地震による大規模な土砂崩れで崩落しました。
土砂崩れは、長さ700メートル、幅200メートルにわたり、崩れた土砂の量はおよそ50万立方メートルに上ると推定されています。
阿蘇大橋は熊本県が管理する橋ですが、活断層の対策など工事に高度な技術が必要だとして今月、国が県に代わって直轄で復旧工事を行うことを決めました。崩落した斜面では、ほかにも複数の亀裂が確認されているため、まずは斜面が再び崩れないよう対策が取られる予定で、現在は、遠隔操作できる無人のダンプカーやショベルカーなどを使って工事に必要な道路の建設が続けられています。さらに、今後、活断層や地盤を調べたうえで、新たな橋の位置や構造を検討する必要があるため復旧には長い時間がかかる見通しで、観光や生活への影響の長期化が懸念されています。

観光への影響甚大

阿蘇山の南側に位置し、雄大な山並みや豊富な湧き水、それに温泉などが楽しめる南阿蘇村には、熊本空港から車で30分ほどというアクセスのよさもあって年間およそ650万人の観光客が訪れます。
阿蘇大橋は村を訪れる際の玄関口になっていましたが、現在、特に熊本市側から村に入るには山道を大きくう回するルートしかありません。これらのルートは30分以上多く時間がかかるうえ、冬の間は積雪や凍結で通行止めになることもあります。村の観光協会によりますと、大型連休中の宿泊のキャンセルは1万9000人分で、すでに申し入れがあったこの先の分を含めると、一連の地震発生以降のキャンセルはおよそ8万人分に上るということです。
また、今回の地震で多くの宿泊施設や観光施設が被害を受けていて、観光協会によりますとこれまでに営業を再開したのは協会に加盟している45の宿泊施設のうち30%ほどにとどまっているということです。
南阿蘇村企画観光課の後藤忠勝課長は「車での観光がほとんどの南阿蘇村では阿蘇大橋の復旧は欠かせない。国に1日も早い復旧を要望するとともに、通行できる道路の情報を発信するなど村としての対応策も検討しなければならない」と話しています。