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【ビジネス解読】韓国の労災死亡率は日本の3倍超だった! “殺人企業”のワーストランキングは財閥系企業が続々と…

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韓国の労災死亡率は日本の3倍超だった! “殺人企業”のワーストランキングは財閥系企業が続々と…

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韓国財界に「特別賞」、進む危険の外注化

 また、ランキング外で韓国最大の経済団体、全国経済人連合会(全経連)が「特別賞」に選ばれた。2005年から14年までの10年間で、労災死亡者数の上位50社のうち約8割にあたる39社が全経連所属の大手企業であることに加え、派遣雇用の拡大や解雇規制の緩和など、「労働者を死に追い込む緩和を強力に要求した」のが受賞理由だ。

 確かに過去10年間の労災死亡者数ランキングを見ると、首位の現代建設(死者110人)、2位の大宇建設(102人)、LGグループから分離した財閥系企業のGS建設(101人)と財閥系企業が続く。5位には現代重工業(74人)、6位にサムスン物産建設部門(69人)が入ったほか、15位の現代自動車(45人)▽32位のLG電子(25人)▽33位の起亜自動車(23人)▽36位のサムスン電子(21人)-など、日本でも知名度の高い企業が軒並み、名を連ねている。

 また同キャンペーン団は、こうした全経連所属の大企業が、労災保険の適用を回避するため、労災の恐れがある危険な現場業務を下請けに外注するケースが増加していると指摘。3年間の労災保険の給付実績をもとに、労災申請が少なければ保険料を減免する特例措置により、全経連所属の33社が2612億ウォン(約250億円)の軽減措置を受けたとして、韓国労働市場に広がる構造的なゆがみの是正を求めた。

労災死亡率、日本の3倍…労働安全“途上国”

 こうした労組や市民団体の主張の背景にあるのが、韓国における死亡労災事故の深刻さだ。同キャンペーン団がまとめた政府統計に基づく韓国の労災死亡者は、01年~14年までの間で3万3902人にのぼる。年間平均で2400人の犠牲者が出ていることになる。こうした労災死亡者には出退勤時の災害による死者や貨物輸送、バスなど特殊雇用労働者は含まれていないという。

 韓国産業安全保健公団(KOSHA)によると、韓国の年間労働者数1万人当たりの死亡者数の割合を示す労災事故死亡率は、12年基準で0.73となった。日本(0.20)や米国(0.35)、ドイツ(0.17)など主要先進国に比べて極めて高い値となっている。日本の3倍、ドイツの4倍近い労災死亡率は、OECD加盟国でもトップレベルだ。