香港=延与光貞
2016年5月16日05時05分
政府批判などの書き込みはすぐに削除される中国のネット空間。具体的にどのような情報が削除されているのか。香港大学ジャーナリズム・メディア研究センターが中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の分析を続け、その一端を明らかにしている。
「ウェイボースコープ」と呼ばれる調査は、微博が普及し始めた2010年に同センターの傅景華・副教授が始めた。「普通の市民が短時間で情報を広め、社会現象が起きるようになった。これを観察すれば、中国社会の理解に役立つと考えた」と話す。
検閲が察知できる仕組みはこうだ。特定の人の微博を繰り返し見ていると、突然、書き込みが見られなくなることがある。この作業をコンピューターで大量に繰り返すと、どんな書き込みがどのぐらい削除されたかが分かる。当初は多くのフォロワーがいる35万人を対象にしたが、サイトの仕様変更などに伴って今は10万人の調査を続けている。
15年に最も削除された書き込みのトップ5は表の通りだ。1位は「くまのプーさん」に似たマスコットが車に乗っているおもちゃの写真。「写真をシェア(共有)」という言葉とともに書き込まれた。
なぜ削除されたのかは日付を見れば分かる。9月3日は中国が北京の天安門で、抗日戦争勝利70周年の軍事パレードを開いた日。車に乗って閲兵した習近平(シーチンピン)国家主席の姿にそっくりだと話題になったのだ。最初の書き込みから約1時間10分後に削除されたが、その間に6万5千回以上もシェアされた。
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