【コラム】私たちは卑怯な国民ではない、韓米同盟に出口戦略が必要だ

韓米同盟は自由と豊かさの基盤、トランプ氏はこの価値をカネに換算
米国が変わるなら韓国も変わるべき

米共和党は総じて同盟を強化するスタンスだった。そんな政党が、トランプ氏を候補者とすることになった。40年ほど前、国力の低かった韓国を荒野に放り出そうとした民主党のカーター大統領は、トランプ氏のように精神まで疑わしい人ではなかった。それにもかかわらず、カーター氏が在韓米軍の撤収計画を棚上げするまでに3年かかった。当時のホルブルック米国務次官補は、カーター氏の翻意の裏に「大統領に対する(米政府の)全面的な反乱」があったと明かした。それだけ考えを変えさせるのが難しかったということだ。だから米国の大統領は恐ろしい。他国の運命を変える独断的な主張を、自国の大衆の支持だけで実現できるのだ。

 韓国社会では1980年代後半に反米ムードが高まった。大学生たちは、韓国が米国に支配される「新植民地」「半封建国家」だと卑下した。「民族解放」を訴えながら自殺した学生もいた。だが、絶叫していた学生たちよりもはるかに多くの学生が、88年のソウル五輪に熱狂した。「植民地」の「封建国家」で五輪とは。韓国の実情は目に見える通りだった。経済規模が増し、豊かになりつつあった。自由と民主も達成した。これは韓国が独力で実現したことではない。米国が構築した経済・安全保障のシステムに加わっていなければ、いくらもがいても韓国は貧困と独裁から抜け出せなかったに違いない。

 米国にとって、韓米同盟はただの同盟の一つにすぎないかもしれないが、韓国にとっては苦労して得た自由と豊かさの基盤だ。だからといって、韓国は安保を米国に任せ、自由と豊かさに卑怯に安住していたわけではない。6・25戦争(朝鮮戦争)やベトナム戦争では多数の韓国兵が米兵と一緒に戦い、命を落とした。トランプ氏は、こうした同盟の価値をまるでごみのように見なしている。彼は「米国が韓国を守ってやるのはクレイジーだ」と述べた。何か大きな理由があるのかと思いきや、米国に「カネがないため」だという。そんな論理なら、米軍はカネで雇われるただの傭兵(ようへい)にすぎないということか。ゲルマン人の傭兵はローマのために戦わなかった。米国の傭兵も、自由のために戦わないだろう。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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