「韓国はミドルパワー」という固定観念を捨てよ
米ワシントンで先週開かれたあるセミナーに出席し、国際社会で韓国が担うべき役割に対する意味のある助言を得た。ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所のヘイムリ所長は、韓国は自国を「ミドルパワー(中堅国家)」としか考えない傾向にあるとし、新たな未来の設計者になるには韓国が東アジアのリーダーとしての役割を担うべきだと述べた。韓国が地域のリーダーとならず、大国の追従者としての役割だけを果たしているのは残念だという。
彼の言葉通り、韓国は今、ミドルパワーという思考のわなに陥っている。大国に囲まれ「クジラのけんかでエビの背中が裂ける(強い者同士の争いに弱い者が巻き添えを食って損害を被る)」ことを心配していた弱小国だった韓国は、度重なる危機を乗り越えて経済成長を続け、国際社会から堂々たるミドルパワーとして認められるようになった。しかし、成功に酔いしれ、ミドルパワーとしての立場に満足しているのではないか、あらためて考えてみる必要がある。
韓国経済は「中進国のわな」から抜け出せないまま、低成長に突入しつつある。韓国の主力産業である造船、鉄鋼、石油化学、電子機器などが世界不況のあおりで低迷し、韓国経済の未来が懸念されている。新たな飛躍を目指す日本と、韓国を猛追している中国の間で韓国がサンドイッチ状態になったと指摘されて久しい。だが、政府が将来の成長エンジン育成に向け、柔軟かつスピーディーな対応を取ってきたかは疑わしい。もしかすると、私たちの心にある程度余裕が生じたため、成長の恩恵を分かち合うことの方が重要だと考えて安住しているのではないか、省察してみるべきだ。
韓国はほかの東アジア諸国よりも聡明で国際化された、教育レベルの高い人材が多く、世界をリードできるIT(情報技術)と医療技術、流通網などを持ち、依然として成長潜在力のある国だ。それゆえ、ミドルパワーに満足する安易さから抜け出し、先進国になるという目標を今一度しっかり持つべきだ。経済規模でのみ先進国になるのではなく、医療や福祉、文化、教育などの多方面で先進国と認められるよう、準備を急ぐ必要がある。