中村真理
2016年4月17日16時41分
リニア中央新幹線の名古屋駅建設に向けた用地買収が、複雑な権利関係などに阻まれ難航している。2018年度中には更地にしないと、27年の開業に影響しかねない。JR東海から委託を受けた名古屋市の外郭団体「名古屋まちづくり公社」は4月、スタッフを大幅に増やして交渉を急いでいる。
「電話1本くらいできるだろ。どかされる身になってみな」
3月末、訪ねてきた公社の職員に、駅西側の地権者の40代男性は思わず怒りをぶつけた。昨年6月に地元の小学校で説明会があり、その後、「年明けすぐに来ます」と言われていたのに、何の音沙汰もなかったからだ。「当事者なのに新聞からしか情報がわからない。そういう対応が不安にさせる」。この日、ようやく測量について話があった。
買収対象は、名駅の東西にまたがる約2万3千平方メートル。JRから地権者との交渉の委託を受けた公社は、2015年度中に測量を終える予定だったが、手間取っている。
過去に例のない都心部での大規模な用地買収は、想定外の連続だった。立ち退いてもらう地権者は、登記簿上では約120人。ところが、実際には相続や譲渡で所有が複数人にまたがっていたり、引っ越していたり……。「(権利関係者は)横にも縦にも広がり複雑」と公社の担当者。いまだ、連絡がとれない地権者もいるという。
テナントも飲食店、オフィスと多様なため、補償金額の算定に必要な売上金などの調査も難航。支店であれば、本社に出向くことも。海外資本の会社もあり、時間がかかっている。
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