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自民、理念なき妥協の産物 ヘイトスピーチ法案 将来、不当な規制可能性も 

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自民、理念なき妥協の産物 ヘイトスピーチ法案 将来、不当な規制可能性も 

 法規制に慎重な自民党が方針転換したのは、取り調べの録音・録画(可視化)の義務化などを盛り込んだ刑事訴訟法改正案の今国会成立を“人質”に取られたからだ。6月1日の国会会期末が迫る中、民進党に水面下で「解消法案を成立させれば、刑訴法改正案の審議に応じる」と打診され、自民党は取引をのんだ。

 与野党の法案修正協議では、ヘイトスピーチを明確に禁止する規定の追加を求めた民進党に対し、与党は「表現の自由の規制につながりかねない」と拒否。今回可決した与党案は罰則規定のない「理念法」にとどめたが、不安は残る。

 与党案で明示している「不当な差別的言動」を拡大解釈すれば、“被害者”と位置付けられた者が国や自治体に過剰な「教育」や「啓発」を求める懸念がある。

 さらに与党案では、野党の求めに応じ、解消に向けた取り組みについて「必要に応じて検討を加える」との付則も追加。今後罰則規定が復活する可能性も残った。将来、「軽い一言」が刑事罰を科せられる芽も消えたわけではない。(清宮真一、力武崇樹)

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