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2016-05-15 「日本」とは何か このエントリーを含むブックマーク

こんなエントリを見かけまして。


JR某駅で足のない糖尿病患者と出会ったんだけど日本死んだらどうすんの - 東京フルスロットル JR某駅で足のない糖尿病患者と出会ったんだけど日本死んだらどうすんの - 東京フルスロットル


都内の某駅で、片脚の老人が物乞いをしているのを目にしたブログ主が、その老人から糖尿病で足を切断し、手の指もすべて壊死した」「佐野市から物乞いに来て、なけなしの生活費に充てている」という話を聞き、衝撃を受ける。しかし、看護師として働く母にその話をすると「それは自己責任だ」「働けない人はたくさんいるのにずるい」と切り捨てられ、セーフティネットについて思いを巡らせるという内容です。


結論としては、

制度的に最後セーフティネット役割を果たせられるのは現状行政くらいだろうか。取りこぼしている問題も数多あるのは事実だが、結局のところ自分たち最後の拠り所となるのは死ねと叫ばれてしまった哀れな「日本」ではないだろうか。

と、結ばれています。これもまた、国会にまで進出を果たしはてな史上最大のトピックとなった「保育園落ちた日本死ね!!!から派生した議論ひとつといえるでしょう。


保育園落ちた日本死ね!!! 保育園落ちた日本死ね!!!




東京フルスロットル」の記事については、内容に真実味が薄いという意見もありますが(駅構内物乞いなんかしてたら警察が飛んでくるんじゃないか、足元にセブンスターのパッケージがあると書いてあるがセブンスターはもう売ってない、お金がないのに佐野市から東京まで電車で通えるのか、など)それらについては、ここでは問題しません。ブログ主のお母さんによる「自己責任」という物言いの是非についても(自己責任から行政に頼るな、というならともかく物乞いもするな、というのはあまりに非情すぎるとは思うが)深くは追究しません。


それより、引用した文からわかるように、日本死ね」を「行政崩壊」と同一視している節があるのが気になりますね。


あの増田記事に対する批判は、その多くが「日本死ね」を「政権打倒」「国体転覆」の意味に捉えていて、津川雅彦のように感情的攻撃もありました。

死ねという奴いわれる奴 - 男の魂に火をつけろ! 死ねという奴いわれる奴 - 男の魂に火をつけろ!


東京フルスロットル」氏も、「最後の拠り所となるのは死ねと叫ばれてしまった哀れな「日本」ではないだろうか」と書いてますけど、でもあの「日本死ね」は「行政福祉崩壊しろ」って意味じゃないでしょ。


日本死ね」ってのは、決して「安倍首相死ね」でも「天皇死ね」でもありません。とくに後者は、そんなこと言う人なんて誰もいません。あそこで言われていた「日本」ってのは、保育園もっと必要だと誰もがわかっているのに増設が認められない、もろもろの事情をひっくるめて、それらを「日本」と呼んでるんじゃないですかね。


「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫)

「日本」とは何か 日本の歴史00 (講談社学術文庫)


日本」と自分を過剰に同一視して、「日本死ね」を自分が「死ね」と言われたかのように怒っていた人もいるけど、悪しき「日本的もの」ってのは、「誰もがよくないとわかっているのに、頑迷な一部の有力者に配慮して改善の声を挙げられない、あるいは声を挙げたものが叩かれる」社会構造ことなんじゃないですかね。


日本」に属するものはすべて良いもので、批判する者は反日主義者である、と二分して考えることができるなら楽でしょうけど、どんな国にもどんな社会にも長所短所もあるわけで、悪いところに目をつぶるのが愛国者だというわけでは決してありませんからね。



日本とは何か」という問いについて、ひと言で答えるのは容易なことではありませんが、最近ニュースを見ていたら、かっこうのサンプルが見つかりました。



「最近は東京五輪の悪口ばっかり」 森喜朗元首相:朝日新聞デジタル 「最近は東京五輪の悪口ばっかり」 森喜朗元首相:朝日新聞デジタル

森喜朗元首相

 (2020年の東京五輪について)リオ五輪が終われば次は東京あんなに皆、喜んで「オリンピックオリンピック」って言ってくれたのに、最近悪口ばっかり言っている。私が一番たたかれているんですけど。最近は、少し東京都の方に(悪口が)行ってしまった。

 しかし、心してこのオリンピック成功させなきゃならん。今、日本は迷っているところもある。しかし、東日本大震災被災した方々、熊本大分、その前の神戸関西も含めて一生懸命日本の再建・故郷の再興を願って努力している。その日本世界中の皆が応援し助けてくれた。その皆さんのためにも、『日本はここまでやりましたよ』とオリンピック成功に導いて、世界の皆さんに披露する。それがおもてなしだと思う。(14日、東京都内での会合で)

ぼくは去年「サブカルとは、みうらじゅんである」という定義を発表して、サブカル嫌いのおたくの人たちに叩かれたりしましたが、それと同じノリで日本とは、森喜朗である定義づけたいところですね。良くも悪くも、日本という社会性質を誰よりも体現しているのが、あの人物だと思いますね。

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