葵祭、新緑の王朝絵巻典雅
京都三大祭りのトップを飾る葵祭が15日、新緑に包まれた京都市内で行われた。平安王朝の装束を再現する典雅な行列が、冠や衣装に挿したフタバアオイの葉を揺らして約8キロをしずしずと進んだ。日曜日の開催は5年ぶり。沿道では昨年より1万5千人多い8万人(府警調べ)が華麗な王朝絵巻に見入った。
午前10時半ごろ、総勢約500人、牛馬40頭、長さ約800メートルの行列が、上京区の京都御所を出発した。
本列は、銀面の馬に乗った束帯姿の近衛使(このえづかい)代を中心に、神に供える御幣(ごへい)物を運んだ。今年で創設60年となる斎王代の列が続き、第61代斎王代の西村和香(わか)さん(26)は十二単(ひとえ)姿で檜扇(ひおうぎ)を手に腰輿(およよ)に乗り、小袿(こうちぎ)の命婦(みょうぶ)や馬に乗った騎女(むなのりおんな)らを従えて優雅に進んだ。御所車とも呼ばれる牛車(ぎっしゃ)は車輪をきしませ、紅色の水干を着た愛らしい牛童(うしわらわ)が綱を引いた。
行列は、下鴨神社(左京区)を経て、上賀茂神社(北区)に向かい、それぞれで行われた「社頭の儀」で神前に御幣物が供えられた。人垣ができた糺の森や加茂街道では、まぶしい新緑に華やかな装束が引き立った。
葵祭は下鴨・上賀茂両神社の例祭。正式には賀茂祭といい、起源は6世紀までさかのぼる。「源氏物語」や「徒然草」にも登場する。
【 2016年05月15日 21時30分 】