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<いま読む日本国憲法>(3) 第7条 首相解散権の根拠

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 天皇が行う「国事行為」について、首相と最高裁判所長官の任命を定めた六条とともに具体的に示した条文です。この中で、話題になることが多いのが衆院解散でしょう。衆院解散の際、天皇は、解散詔書に署名と押印をします。詔書には、憲法七条により衆院を解散する旨が書いてあり、同じ文面を衆院議長が本会議で朗読して解散となります。

 しかし、解散権は実質的に首相にあるとよくいわれます。憲法には首相に解散権を与える明文規定はありませんが、七条の国事行為は「内閣の助言と承認」に基づいて行うと書かれているからです。「内閣イコール首相」と解釈していいのかという指摘もありますが、多くの歴代首相はこれを根拠に、政権に有利な時期を選んで「七条解散」を断行してきました。

 憲法は六九条で、衆院が内閣不信任決議案を可決または信任決議案を否決した場合の解散を定めていますが、不信任案可決を受けた解散は一九九三年が最後。最近の解散はすべて七条解散です。もっとも首相の一存で解散を決めることに対しては「解散権の乱用だ」と、しばしば批判が上がってきたのも事実です。

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 自民党改憲草案は、天皇の国事行為について「内閣の進言」が必要と規定しました。現行憲法の「助言と承認」が、意見を申し述べる「進言」に変わった形です。天皇が内閣の意見と違う判断をする余地を残したとすれば、天皇が象徴的存在とはいえなくなってしまうかもしれません。

 また、草案は衆院解散について「内閣総理大臣の進言による」というただし書きをつけました。首相一人の判断という点を明確にしようとしています。

 

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