ある日、忠雄は駅のホームで飲みかけていたビン入りのコーヒー牛乳をあわてて売店に戻した。電車の出発ベルが鳴り始めたからだった。
「もったいないことをした」という思いとともにあるヒントが頭に浮かんだ。
缶入り飲料にすれば車内にも持ち込めるからむだなことをせずに済む。
そして世界で初めて、缶入りのコーヒーを開発するプロジェクトがスタートした。
製品化までの道のりは苦難の連続だった。夜通し文献を読み漁りながら実験を繰り返し、一つひとつハードルを乗り越えていった。当時普及しつつあった人口甘味料は使わず、砂糖とミルクの配合で風味にこだわった。
そして1969年(昭和44)年4月、ついに世界初の缶コーヒーができあがった。