2016年5月14日/矢口明
去る4月23日(土)ハロー!プロジェクトオフィシャルショップ東京秋葉原店にて、「ハロショトーク16 祝・書籍化!大森望リターンズ!『50代からのアイドル入門』に川村あやの(はちきんガールズ)」が開催された。
「ハロショトーク」とは、ハロー!プロジェクト及び、その関連ユニットやソロのファンであるメディア関係者、ミュージシャン、クリエイターなどが、それぞれの視点でハロプロの楽曲やメンバーについて語るトークイベント。今回で16回目の開催となる。
このイベントの企画、進行MCを務める高島幹雄さんは、パッケージメディアクリエイターとして数多くのCDやDVDのパッケージアイテム、音楽配信や番組などのノンパッケージの企画・制作に携わっている。また、ライターやラジオパーソナリティーなどもこなし、マルチに活躍している。
今回のハロショトークは書評家、翻訳家の大森望さんが、昨年7月以来2回目の登場。前回は、WEB本の雑誌の連載だった『50代からのアイドル入門』の書籍化を祝して、著書をテキストにアイドル入門トークを行なった。そして今回はもう1人、『50代からのアイドル入門』にも登場するアイドルグループ、はちきんガールズからハロプロ好きアイドルとして知られる、川村あやのさんがゲスト出演した。
髙島さんの登場曲はアンジュルムの『次々続々』、ステージに上がった時の第一声が「どーも、さわやか五郎です!」。そして客席からのブーイング。さすが、ハロプロファンの皆さん、さわやか五郎さん登場時のお約束をよく分かってらっしゃる。一方、大森望さんは、モーニング娘。6期の曲『大きい瞳』をBGMにステージに登場。さらりと「道重一筋」Tシャツを着こなしていた。
大森さんの著書『50代からのアイドル入門』の原型は、2015年、一年間「WEB本の雑誌」に掲載された同名のコラム。コラム開始当初に、一度ハロショトークに出演している。今回の出版記念での再登場は、いわば「凱旋公演」のようなものといっていいだろう。この本を読めば、2015年に起きたハロプロの出来事が分かるようになっている。
また、ハロプロ以外のアイドルについても「半分くらい」書かれているそうだ。「これを読んでハロプロ以外のアイドルの事が気になるようになった」という髙島さんのように、アイドル全般を知る入門書として読み進めるのも楽しいだろう。
そして、もう一人のゲストとして、はちきんガールズの川村あやのさんがステージに呼ばれると、その手には、たくさんの写真が一枚のポスターのようにまとめられたものが。写っているのは、モーニング娘。`16のメンバー。とりわけ川村さんの推しメン、工藤遥さんのものが殆ど。これは、川村さんの私物だそうで、いかに彼女がガチなハロオタなのかが一目でわかった。服装も公式グッズである工藤遥さんのTシャツとリストバンド。
『50代からのアイドル入門』にも、はちきんガールズは取り上げられているが、大森さんがこのイベントのゲストに推薦したのは、ハロプロ好きな「我が軍」の同志だからに他ならない。自己紹介も「まーどぅー世代の、高校2年生16歳。誕生日はえりぽんと同じ、七夕生まれの川村あやのです!」と、自分の名前に辿りつくまでハロメンが続々出てきて、会場を沸かせていた。
これを受けて、大森望さんが「誕生日は牧野真莉愛と同じ55歳。大森望です」と改めて自己紹介していた。牧野真莉愛さんは15歳なので、大森望さんとは40歳差。
ちなみに川村あやのさんは、大の魚好きで高知県おさかなPR大使も務める。スーパーの鮮魚売り場で流れている「おさかな天国」の現行バージョンを歌っているのも彼女。「カツオが捌ける」という特技も、アイドルとしては非常に珍しい。
役者が揃ったところで、はじめは「川村あやのさんが選ぶ、くどぅー名場面」。文字通り、本人がミュージックビデオやライブ映像から、工藤遥さんのこの一瞬が好き、を熱く語るコーナー。まず選んだのは『恋愛ハンター』のミュージックビデオ。2012年、加入して間もない工藤さんが出て来ないイメージだが、ボブカットの工藤遥さんがアップで映る一瞬に「異次元」「かわいい」「天使ですね」を連発していた。川村さんが、握手会に参加しようとして道に迷ったエピソードや、くどぅーにハマったキッカケなどを語っていた。また、カラオケで歌ったり、振りコピをすることもあるそうで、『恋愛ハンター』のガニ股ポーズも気にいっているそう。
一方で大森さんとしては、『恋愛ハンター』のミュージックビデオを見てハマるなら「普通、さゆでしょ」とあくまで道重一筋路線を譲ることはなかった。
続いて紹介されたのが、モーニング娘。?15『Oh my wish!』のミュージックビデオ。昨年夏に発売された59枚目のシングルともなると工藤遥さんが出る場面も多く、開始10秒ほどでソロカットが出ると「ほら!」と喜々として、そのカッコ良さに感嘆していた。
ミュージックビデオの撮影場所である東京キネマ倶楽部は川村さん自身、ライブで訪れたことがあるライブハウスで、見慣れた場所に工藤遥さんがいることが嬉しそうだった。次回、東京キネマ倶楽部に行った際には、ミュージックビデオを再現するように工藤さんの立った場所で撮影したいと語っていた。
ちなみに自身のライブ中にも工藤遥さんの動きを取り入れる事があるそうで、『Oh my wish!』のサビ前のウインクをマネしてやっているとの事。ただ、ウインクが上手くないため、ライブ中に笑うと目が無くなるので「やってても分からないんですよ」とのこと。川村さんファンの皆さんは、次回のライブで、その辺を確認してみてはいかがだろうか。
この後、はちきんガールズの最新曲『雨のスクリーン』のミュージックビデオも紹介された。しっとりした感じの曲で「さみしい感じで」と言われて撮影に挑んだところ、眉間にシワが寄ってしまったとのこと。でも「怒ってるわけじゃないので、さりげなく見てください」とMVを紹介していた。
はちきんガールズは、川村あやのさんの他に、リーダーの石川彩楓さん、MCがとても楽しい梶原妃菜子さん(日本語の言い間違いが多くて楽しい)の3人組。今年の8月29日に、渋谷Duoにてワンマンライブが予定されている。キャパ800人という、これまでのはちきんガールズのライブでは未知の領域にチャレンジすることになる。
大森さんは「『我が軍』から500人くらい援軍を」と、ハロプロファンからの応援を呼びかけ、髙島さんも「ハロプロを通して、いろんなアイドルさんやアーティストさんと知り合う機会があるが、『我が軍』と思うと応援したくなる」と語っていた。
また、はちきんガールズとして、Webストリーミング番組「SHOWROOM」で定期的に配信を行なっているが、川村あやのさんが単独で、ハロプロ曲を歌い続ける回もあり、ハロプロファンにとっても楽しめるのではないだろうか。
続けて、大森望さんの著書『50代からのアイドル入門』をテキスト代わりにして、トークが始まる事となった。まずは表紙の撮影の時に、「大森(望)Tシャツ」を着た経緯について。
表紙にはアイドルグッズを身につけた大森さんをという事になったが、そのまま表紙にすると権利上の問題がある。ならば自分で作ってしまおうというところから、「ハロプロ研修生Tシャツ」に模したものを作成したとの事。書体はもちろん「ヒラギノ角ゴシックW8」。なぜ「望」の部分がカッコとじになっているかついては、すでに大森靖子さんが「大森研修生Tシャツ」作っていたから。
「後輩として」同じ姓の場合は、そうするものらしい。実際のハロプロ研修生の中では、先輩の井上ひかるさんが「井上」、後から加入した井上玲さんが「井上(玲)」と表記してあるとの事。
この研修生Tシャツは、ハロプロ研修生発表会(あくまで研修生なのでライブやコンサートではなく、こう呼ぶ)の売り場にも並ぶ言わば公式グッズ。当然、ファンの方たちも着ることとなる。ある日、大森さんが、はちきんガールズのライブに、「大森(望)Tシャツ」を着て行ったところメンバーの梶原妃菜子さんから「本人ですか?」と尋ねられたそう。「大森さんのファンの人が着てるのかと思った」と。
続いてスクリーンには「モーニング娘。コンサートツアー2013秋 ~」日本武道館公演での道重さゆみさんのMC映像が流された。このMCでは後輩の成長を喜ぶリーダーの道重さんが先輩も同期もいない初めてのツアーで心配だったが大丈夫だった。その理由は「後輩たちが頼もしくなっていたから」というモーニング娘。の9期、10期生を泣かせた名MC。
ただ、このMCの締めくくりに、会場のファンに呼びかけた言葉が「○○気味のみなさーん」だったので、DVDではカットされているというオチ。○○に当てはまる言葉は、ハロプロファンならご存知だろう。まだ知らないという方は、ぜひ大森さんの著書で確認してほしい。これは、ファンとの信頼関係、ファンへの愛情が無ければ言えない一言と言って間違いないだろう。
『50代からのアイドル入門』は、大森さんいわく「ハロヲタの12カ月」「ハロオヲタ歳時記」なのだが、ハロプロ以外のアイドルについても書かれている。川村あやのさんの属する、はちきんガールズについても、2015年1月のイオン臼井店でのイベントのレポが書かれている。
ご存知の方も多いだろうが、大森望さんは、はちきんガールズの地元、高知県の出身。高校野球を見て地元の高校を応援するくらいだから、地元のアイドルを応援するのも当たり前。むしろ、「高校野球応援するより面白い」という一言に、会場のファンも頷いていた。
大森さんは、TIF2014ではスケジュールが合わず、はちきんガールズを見る事が出来なかった。翌年の初め、ハロコンを見るより早く、千葉県あるイオン臼井店で、はちきんガールズのライブを見る運びとなった。
お正月のイオンらしく、観客はお年寄りや、家族連れが多かったそう。はちきんガールズのミニライブの前に演歌、マジックショーという流れだった事からも、実にほのぼのした雰囲気だった事がうかがえる。また、会場のイオンモール臼井店は、新設されたものではなく、旧サティから改装されたタイプの「年季が入ったイオン」で、はちきんガールズの梶原妃菜子さんが「このイオンは高知のイオンみたいで落ち着くね」と言うと、すかさず川村さんが「旭のほうのね」と発言。ディスっていると受け取られても仕方がないのだが、当然、千葉県民のお客さんに分かるはずも無く、ただ一人、大森さんだけがウケていたという話。
つまり同じ市内でも、高知駅前の新しいイオン(イオン高知店)ではなくて、古いイオン(イオン高知旭町店)にそっくりだった。という事らしい。ちなみに高知イオン旭店は1978年にニチイ高知店(ニチイ高知ショッピングセンター)として開設され「高知サティ」を経て、現在の名称となった。
一方、イオン臼井店は、1984年に開設された「レイクピア」という商業施設内にあり、扇屋ジャスコからイオンへの転換をしている。この「旭のほうね」の一言で、大森さんは「やっぱり地元のアイドルはいいな」と和んだそう。
はちきんガールズは、MCも土佐弁で通していて、大森さんも「母親と電話で話す以外、土佐弁を聞くのは、はちきんガールズくらいしかない」そうだ。
その後、アンジュルムの福田花音さんの「ライブは出勤」発言などが紹介され、会場は終始笑いが絶えなかった。また、川村さんは、プライベートでもハロプロショップに度々来ているそうで、以前来店した時に、「川村さんですよね?」と声をかけられ、工藤遥さんのグッズをプレゼントされた事もあるらしい。ちなみに声をかけた方は、石田亜佑美さんのバースデーイベントに参加するために東京に来ていた高知のイオンの方だったそう。新しいイオンの方の(笑)。
トーク終了後、ハロプロ曲のカバーを中心に、オリジナル曲も含めて約30分間のミニライヴも行なった。イベント終了後には、大森望さんの著書『50代からのアイドル入門』や「大森(望)Tシャツ」、川村あやのさんの所属する、はちきんガールズのCDやグッズ販売も行なわれ、大盛況のうちに幕を閉じた。
イベント終了後、見に来ていたファンの方に少し話を聞いてみた。ハロプロのファンの方は、ハロプロのクオリティの高さ故に、他のアイドルにあまり目が行かないとも言われる。しかし、この時話を聞いたKさん(推しメンは、田口夏実さん)は、3年くらい前から、川村あやのさんの事を知っていて、高知にも足を運んだ事があるとの事。きっかけは、高知に「宮本佳林さんに似ている子がいる」という噂だったとか。重ねて川村あやのさんがハロプロ好きと知って、より好きになったそうだ。
この日、大森望さんのファン、はちきんガールズのファンと共にたくさんのハロプロファンの温かさを感じる事が出来たのは大きな収穫だった。出番前に緊張しまくっていた川村さんを「大きな愛でもてなして」くれたハロプロファンに、拍手を送りたい、
次回のハロショトークは、5月28日(土)14:00~ハロプロショップ東京秋葉原店にて『ハロショトーク17 ビルボードジャパン.com平賀さんの180分スペシャル!』として開催される。ゲストはBillboard JAPAN.com 編集長の平賀哲雄さん。詳細は、ハロプロショップ公式サイトを確認してほしい。
●イベント「ハロショトーク16 祝・書籍化!大森望リターンズ!『50代からのアイドル入門』に川村あやの(はちきんガールズ)」
【開催場所】ハロプロショップ東京秋葉原店
【日時】4月23日(土)17:00開始
【出演者】大森 望さん(書評家、翻訳家)、川村あやのさん(はちきんガールズ)、高島幹雄さん(フリー・ディレクター/ハロショトーク企画・構成・MC)
■関連リンク
・ハロプロショップ公式サイト
・川村あやの
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・高島幹雄
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