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本震、連動で大きく 前震の断層帯も揺れ

本震で動いた断層

 熊本地震の4月16日の本震は、震源とされてきた布田川(ふたがわ)断層帯だけでなく、14日の前震の震源だった日奈久(ひなぐ)断層帯が連動し、より大規模化したとの分析結果を、国土地理院がまとめた。本震は約80キロ離れた大分県内でも大きめの地震を誘発、地震が地震を呼ぶ連鎖となり、余震が終息しない状況を長引かせている。気象庁は5月14日、熊本、阿蘇地方で震度6弱程度、大分県中部で震度5強程度の余震に少なくとも今後1カ月は注意するよう呼びかけた。

     国の活断層評価では、布田川断層帯の布田川区間で予想された地震の規模はマグニチュード(M)7.0程度だが、実際の本震は約3倍大きなM7.3だった。同院は衛星で観測した地殻変動データなどを基に、日奈久断層帯の高野−白旗区間が同時に動いたと分析した。同区間は前震の震源だったが、本震の方がはるかに大きく動いたといい、本震の震央が位置する熊本県嘉島町の地下で両断層帯が近接しているという。同院の矢来博司・地殻変動研究室長は「本震は布田川、日奈久のどちらとも言えない場所が震源となり、双方の断層帯に破壊が進んだとも考えられる」と説明する。政府の地震調査委員会の平田直委員長(東京大地震研究所教授)も13日夜の記者会見で、従来の本震の評価を見直し、両断層帯の計約35キロ区間が連動したとの見解を示した。

     ■ひずみが飛び火誘発

     熊本地震では、阿蘇地方や大分県側へも地震が広がったことが最大の特徴だ。本震の32秒後には、約80キロ離れた大分県中部の別府−万年山(はねやま)断層帯近くでM5.7の別の地震が起きていたことが地震波の分析で判明した。調査委は13日、断層がつながっているのではなく、本震の強い揺れで「飛び火」のように誘発されたと評価した。この地震のため大分県側の余震が増えたとみられる。産業技術総合研究所の石川有三招聘(しょうへい)研究員(地震学)は「地下にマグマがあり力をためにくい火山周辺や、1975年に大分県であった地震の時に動いてひずみが残っていない場所では地震が起きず、その先の別府湾周辺で地震が誘発された」と推測する。

     東北大の遠田晋次教授(地震地質学)は、本震後に阿蘇−大分方面に地震が起きやすい大きなひずみがたまっていると分析。それに加え、九州中部には大小無数の断層があり、「一つの断層が動いて力のバランスが崩れると周辺にひずみが散らばり、少しの刺激で動いてしまうほどひずみがたまっていた断層が次々と地震を起こした」と、連鎖的に続発する地震のメカニズムを説明する。

     ■2カ月後にも強い余震

     余震はいつまで続くのだろうか。平田委員長は、2004年の新潟県中越地震(M6.8)や11年の福島県浜通りの地震(M7.0)では1、2カ月後にも震度5弱の余震があったとし、「今後も強い揺れを伴う地震が発生するおそれがある」と注意を呼びかけた。また、布田川、日奈久両断層帯の西側にまだ大きな地震が起こっていない区間があり、「現時点で地震活動が活発化する兆候はないが、引き続き監視を強めていく」と強調した。【飯田和樹、藤野基文、岡田英】

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