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ここ10年ほど、欧米では、聖書に基づいて同性愛に反対する牧師やクリスチャンが「ヘイト・スピーチ」の名のもと逮捕・起訴されるケースが相次いでいます。
このような傾向が見られるのは米国、カナダ、スウェーデンなど多くの国にわたっており、ゆくゆくは公の場で聖書を朗読することが犯罪として取り締まられるようになるのでは、という懸念さえも呼んでいます。
歴史的にキリスト教を基本としてきたこれらの国の成り立ちから考えると本当に驚愕すべきことですが、事実です。
今回は、こうした一連の事件の中でも特に有名な裁判例となったスウェーデンのAke Green牧師事件についてご紹介します。
Ake Green牧師事件の経緯
スウェーデン南部にあるボリホルムという町の小さな教会で牧師を務めていたAke Green師は、2003年の夏、同性愛は神の前に罪であるという内容の説教（＊）をし、またその要旨を地方紙に掲載したところ、「ヘイト・スピーチ」を禁ずるスウェーデン刑法によって起訴、拘留されました。[1][2]
スウェーデン法は、特定の国籍の、あるいは特定の民族グループに属する人々を人種差別的犯罪から保護することを目的に1940年代に「The Act on Agitation Against a National or Ethnic Group (Lagen om hets mot folkgrupp)」という法制を採用しましたが、2003年には「sexual orientation」（性的志向）を保護対象に加える改正がなされ[3]、Green師の起訴は性的志向の追加後初の適用であったそうです。[4][5]
その結果、第一審の地方裁判所はGreen牧師に執行猶予付き1カ月の拘留を言い渡しましたが、上訴審はこれを覆しました。[5]検察側は最高裁に上告、6カ月の刑期を求刑。[4]その後2005年の11月、スウェーデン最高裁は師を無罪としました。[6]
事件の余波
一旦は起訴されたものの、Green師が最終的に無罪を勝ち取ったことで、保守的クリスチャンからは安堵の声が上がっていたようです。[6]ただ、スウェーデンの同性愛者権利擁護団体「the Swedish Federation for Gay, Lesbian, and Transgender Rights」の代表者は「ヘイト・スピーチは、それがどこで行われたものであろうと当局に通告する」と宣言しています。 [7]
また、同様の起訴は米国、カナダでも起こっています。（後日詳報をお届けします。）たとえ有罪に至らずとも、訴訟に応じるだけで多額の費用と多くの時間を費やすことを考えれば、聖書に基づいて同性愛が罪であることを説教することにリスクが伴いつつあるということには変わりありません。これらの国々のクリスチャンは、聖書の一部を「タブー」として伏せておくか、リスクを冒して真理の全てを語るか、決断することを迫られつつあるのです。
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