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散るろぐ

まだ見ぬ才能と、世界の架け橋に

貫洞沙織著「ひとりストリップ」を読んでみた

読んだ本

Profile チルド -|- 貯蓄家
id:cild

こんちは。チルドです。

今日は朝から、「ひとりストリップ」を読んで、感想を書いていたよ。ネタバレありだけど、本文の引用はしていないから安心してね。



ところで、僕は、本のレビューというか、感想を読み終わったときに書くのが、本当はイヤなんだよ。だって、面白い本を読んだ直後って、その余韻にいつまでも浸っていたいものじゃない。それくらい、この本はよかったよ。

だけど、それでは、今の気持ちを忘れてしまうから、ざっとだけど書いてみる。

破天荒な生き様

そもそも僕は、著者のブログ( あけすけビッチ! かんどーのあばずれ日記)の熱心な読者だったんだよ。それは、若い女性起業家のブログだから、というわけじゃなくて、僕はネットに女の子が書いているものは全部チェックしているんだ。

その中でも、かんどーさんのブログは面白い部類に入る。仕事からプライベートまで、個性的で破天荒な生き様を赤裸々に語っているから、特別に注目していたんだよ。そのブログからして「濃い」内容なのに、今回は、さらに踏み込んだってことだから、かなり期待していた。

完成度が高い

読書家の僕だから言えることだけど、本書はなかなかに完成度が高い。短編のように8つのエピソードから構成されていて、それがひとつのストーリーになっている。

主人公の名前は「さつき」。内容はフィクションを混じえてある─、と、書かれているけど、これは、かんどーさんの自伝的な小説だと思って間違いない。

大人の事情も含まれているから、もっと生々しいものをイメージしていてたけど、ちょっと違っていた。じっさいに描写は生々しいのだけど、不思議と生臭い感じはない。むしろ僕には、清潔に感じられた。

文章も簡潔で変なクセがなく、スラスラと読みやすい。読み始めたときは、一歩引いたところから読み進めるつもりだったけれど、どんどん引き込まれてしまった。

揺さぶられる価値観

本書の中で「さつき」は、考えなしではなく、考えられないから(衝動的だから)行動しているという。それは、なにごとにも奥手で臆病な僕にとって、大きく価値観を揺さぶられるものだった。

なぜなら僕は、いつも、保険をかけるというか、こうしたらこうなるだろう、というように、結末を予測したり、想像したり、あるいは夢見たりする。そして、割に合わなさそうだったら、早々にあきらめてじっとしている。それが賢い選択だと思っていた。

しかし、本書を読み進めるにつれ、それが必ずしも正解ではなかったと思い始めてきた。あれこれ思案して、けっきょく行動しなかったことは、とても大きな間違いだったのかもしれない。

エピソードのなかで「さつき」は、毎回、無謀で愚かとも思える選択(行動)をするのだけど、そのひたむきな姿勢には、なぜか強く心を打たれる。とても魅力的で惹きつけられ、目が離せなくなってしまう。

僕も、こんな男になりたかった。

さつきの世界

エピソードのなかに、小学生だった「さつき」が、学校の先生に叩かれるシーンがある。そこには大人の常識(だと思っているもの)と、さつきから見えている世界のギャップが、鮮明に描かれていた。

僕たち大人は、歳を重ねるにつれ、他人に対して「なんでこの程度のことが出来ないんだ。小学生かよ」などと(自分のことは棚に上げて)批判してしまうことが増えていく。

しかし、さつきは、前へ進むのをやめない。

そんな「さつき」の視点から、あらためて自分たちを見返すと、傷つくのを恐れたこと、夢をあきらめてしまったことを、悔やむ気持ちになってくる。

つまり、みんなもっと自由奔放にやっちゃってもいいのだ。自分の心に嘘をつく前に、やっちゃうのは、けして無駄なことなんかじゃない。

僕は、この本から、そんなエールをかけられたように感じている。

もしも今、あなたが、何かをやろうかどうか悩んでいるいるとしたら、やっちゃえばいい。本書からは必ず勇気をもらえるはずだ。

この週末にいかがだろうか。


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