米報道官「未来を志向」 謝罪の旅を否定
【ワシントン会川晴之】アーネスト米大統領報道官は10日、オバマ米大統領が三重県志摩市で開かれる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)終了後の27日に被爆地・広島を訪問することについて「未来を志向したものだ」と述べ、核兵器なき世界の実現に向けた行動と強調した。またこの訪問は、原爆投下を謝罪する旅ではないとも指摘、核兵器の廃絶という究極の目標は「民主、共和両党の歴代大統領が追い求めてきたもの」と、訪問の正当性を訴えた。
報道官は、オバマ氏が広島平和記念公園を訪れると紹介した。ただ、米当局者は「プラハ演説のような演説をする予定はない」と話しており、献花や所感を述べることにとどまる可能性がある。
オバマ政権が核なき世界の実現に取り組む理由として報道官は「米国は世界で唯一、核兵器を使用した国であり、特別な責任がある」と説明。オバマ氏は2009年11月に大統領として初めて訪日した時以来、広島を訪問する機会を探っていたことを明らかにした。オバマ氏にとって今回が大統領としては最後の日本訪問となる。このため大統領が「適切な時期が来た」と判断したとの見解を示した。
米国内には、広島訪問に対してタカ派を中心に反対論もくすぶる。そのため記者からは、今回の訪問が謝罪と受け取られる可能性があるのではないかとの質問も相次いだ。これに対し報道官は「その解釈は間違いだ」と明確に否定した。
また報道官は、戦後70年以上を経て日米関係が劇的に好転したとも指摘。「日本がアジアにおける米国の最も重要なパートナーとなることを70年前は誰しもが想像できなかった」と振り返った。ローズ大統領副補佐官も10日朝に「日米両国が、深く持続的な同盟構築に向けて歩んできたことを象徴する」と、日米両国の絆の深さが現役大統領による広島訪問につながったと説明している。
一方、米主要メディアはオバマ氏の広島訪問を「歴史的な訪問」などと評価する論調が目立った。