平和公園では「核兵器をなくす宣言を」
発表一夜明け、通勤や散歩の市民、観光客から歓迎の声
オバマ米大統領の広島訪問が発表されて一夜明けた11日朝、広島市中区の平和記念公園では、通勤や散歩の市民、観光客などから歓迎の声が聞かれた。
平和公園を通って毎朝通勤する広島原爆養護ホーム「舟入むつみ園」の生活相談員、向垣内(むこうがいち)世紀(せいき)さん(46)=同市安佐南区=は、「歴史的なこと」と歓迎する。入所する被爆者の間でもオバマ大統領の広島訪問は話題に上っていたといい、「オバマ大統領への期待は大きい。被爆地で演説する重さを感じ、『核兵器をなくす』と宣言してほしい」と求めた。
平和公園での朝の散歩が日課になっている近くの女性(75)は中学生の時、元教師の広島県被団協理事長、坪井直(すなお)さん(91)に数学を習っていたという。女性は「病を抱えながら、国内外で核廃絶を発信してきた坪井先生の活動が実を結んだ」と喜び、「被爆者がこの71年間をどう歩んできたのか。オバマ大統領には被爆者の声に耳を傾けてほしい」と話した。
5歳の時に被爆した同市東区の男性(75)は週2回、清掃員として公園を掃除している。「米国では原爆投下を正当化する世論があり、投下した責任は認めないだろうが、来るだけでもいい。長い目で見て、核兵器廃絶への転換点になってくれたら」と期待した。
広島という土地が持つ独特の雰囲気を指摘する声もある。転勤で5年前に同市中区に引っ越してきたという公務員の渡部重利さん(55)は、「亡くなった人の思いを感じられる雰囲気がここにはある。重い場所だ。オバマ大統領にもそれを感じてもらいたい」と願っていた。
一方、父が被爆者という同市安佐南区の会社員の女性(54)は「今回の訪問で何かがすぐ変わるというような期待は持てない。安倍首相と一緒に来るので、警備も大変になると思う。テロなどが起きず、無事に終わってほしい」と話した。【寺岡俊、竹下理子】