「ポケットマネーにはしてないぞ」

【連載】「告発」~東愛知新聞社義援金不正流用疑惑~/⑥刑事責任は?

2016/05/14

 被災地への寄付を名目に協賛企業から集めた広告掲載料を、全額社内の収益に流用していた東愛知新聞社を巡る疑惑。

 本多亮社長は3月14日の会見で、第三者の参加も念頭においた詳しい調査を、「ズルズルしないで早急にやりたい」と約束した。しかし、その後2カ月近く過ぎるまで、調査方法や公表時期について何も示さなかった。表向きは「経理ミス」との釈明を繰り返しながら、藤村氏を辞任させることで、疑惑の幕引きを図ろうという意図だったのか。

 だが、同社の元社員Aさん(65)は、「経理ミスは言い逃れ」「最初から寄付するつもりがなくて、協賛企業をだましてお金を集めてきた」と断じる。

 もし、最初からだますつもりでお金を集めていたのなら、その行為を刑事責任として問うことはできないか―。

 Aさんは昨年10月頃、何度も悩んだ末に、検察庁の支部に足を運んだことがある。応対した検察官は話を初めから最後まできちんと聞いてくれた。

 検察官は、義援金になるはずの約450万円が会社の経理に入り、それがそのまま会社の収益になったことを確認すると、「社長が自分のポケットマネーにした場合は法律により罪になるが、会社の経理にそのまま入った場合、そもそもそれを罰する法律が(日本には)ありません」と答えたという。

 「個人」から義援金と称して集めたお金を会社の収益にした場合は、犯罪になる可能性はある。また、「個人」が自分のポケットマネーにした場合にも取り締まる法律はあるが、「会社」が「会社」をだましても、それを罰する法律が無いというのだ。

 それを聞いたAさんには思い当たることがあった。昨年9月、B局長と2人で寄付金が未送金になっていることについて、藤村正人社長(当時)に真相をただそうとした時の事。こちらから「私的流用」を追及した訳でもないのに、正人社長は自分から「先代も俺も自分のポケットマネーにはしてないぞ」と言い出してきた。

 「何十年も地元でやっている新聞社の社長ぐらいだったら、それくらい知っているはずですよね」という検察官。仮に外部に漏れても刑事責任には問われないことを知った上で、義援金を社内で使ってしまったのではないか。

 「今日の話は聞かなかったことにします」と言う検察官に、Aさんは「罰する法律が無いのなら仕方ないですね」と言い残し、支部の建物を後にした。

2016/05/14 のニュース

「刑事責任を問うことはできないのか」と訴えるAさん

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