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一風堂ラーメンが韓国から突然撤退した理由

東洋経済オンライン 5月14日(土)8時20分配信

 2011年から韓国・ソウルで3店舗を展開していた一風堂(力の源カンパニー)が今年2月末日、すべての店舗でのれんを下ろした。

 「大げさだけど、一風堂のラーメンを食べることが異国にいる励みになっていたのに……。まさか一風堂が全部なくなるなんて思ってもいなかった」(30代、日本人ソウル駐在員)と、予期すらしていなかった撤収に、在韓日本人はもとより、一風堂ファンの韓国人の間で「なぜ?」「どうして?」と戸惑いと衝撃が走った。

■ 本場の味を提供していた一風堂

 一風堂といえば、言わずと知れた豚骨ラーメンの雄だ。

 1985年、九州・博多にカウンターわずか10席からスタートして以来、日本のラーメン界を牽引し、今や国内で94店舗、海外でも2008年のニューヨークを皮切りに12カ国・地域に52店舗を擁するグローバル企業でもある。

 そんな一風堂がニューヨーク、シンガポールに続いて進出したのが韓国だった。韓国の総合複合企業のエギョングループ(以下、AKグループ。財閥50位圏内)とライセンス契約を結び、2011年5月、ソウルきっての流行スポット江南に1階はラーメンダイニング、2階はバーという瀟洒(しょうしゃ)な作りの第1号店を華々しくオープンさせ、「毎日行列ができていた」(近くにあるブティック店員)ほどの人気店に。同年末には2号店、翌年には3号店も同地域にオープン。2014年には20~30代が集まる大学街などに進出するという報道も流れ、このまま順調に店舗数を伸ばしていくものとみられていた。

 韓国での和食人気はかつての「(和食)もどき」から「本場の味志向」へと移り変わっている。そんな背景からも、本場の味を提供していた一風堂の「撤収」は思いもよらないものだった。

 閉店した一風堂のドアには、韓国語では「やむを得ない事情」、日本語では「ライセンス契約終了」と店を畳んだ理由が記された紙が一枚、寂しく貼り出されていた。

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最終更新:5月14日(土)10時50分

東洋経済オンライン

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