ルー財務長官、G7前の円売り介入をけん制
「通貨安競争」回避合意再確認の意向も示す
【ワシントン清水憲司】ルー米財務長官は13日、外国為替市場の円相場について引き続き「秩序を保っている」との認識を示した。為替介入が容認される状況ではないとの考えを表明し、日本による円売り介入をけん制した格好だ。「一つの国が通貨の競争的切り下げを始めると、他国にも連鎖し、縮小しつつある世界の需要をめぐる闘いになる」とも述べ、主要7カ国(G7)間で「通貨安競争」を避ける合意を再確認する意向も示した。
ルー長官は4月15日の記者会見で「最近は円高だが市場は秩序を保っている」と述べ、「一方的で偏った動き」との見方を示した麻生太郎財務相との認識の差を浮き彫りにしていた。
仙台市で今月20〜21日に開かれるG7財務相・中央銀行総裁会議を控え、13日に行った一部記者との会見でも、ルー長官は「数週間前と私の見方は変わっていない」と明言。「各国は互いに驚きを与えないよう相談することで合意している」と述べ、日本の為替介入に否定的な認識をにじませた。麻生財務相は最近、「急激な円高や円安が起これば当然介入する用意がある」と述べており、食い違いが再び鮮明になった。
また、ルー長官は日本の経済政策について「金融政策が強調され、構造改革は進展が遅い」と指摘。「一つの政策手段に頼るべきではない。すべてを使う必要がある」と述べ、財政出動も含めた政策総動員を求めた。