上念司(経済評論家)
以前、「舛添外交」を批判する論説を書かせてもらった。
あの時、私が問題にしたのは外遊時のスイートルームや、豪華レストランや、大名行列のような随行員の人数ではない。もし、費用対効果が期待できるなら、派手な散財も正当化されるだろう。しかし、「舛添外交」はまったく成果が上がらないどころか、都政に余計な問題を持ち込んでいるだけだと、私は批判した。
そもそも、地方自治体は国際親善の範囲内で外国の自治体との交流をするのが原則だ。外交上の問題を抱えた国を訪問して、変な約束をして帰ってくるなど言語道断である。韓国訪問の際に、朴槿恵大統領に余計な口約束をしてしまったことが、東京都の用地を韓国人学校の建設に割り当てる問題の発端であった。都知事が本来の職務権限を越えて、外交に手を出した結果がこれである。舛添氏は都知事の職務にもっと集中すべきだった。
しかし、舛添氏が派手に使っているお金は舛添氏のポケットマネーではない。政治資金として政党助成金なども名目で得たお金を、あたかもポケットマネーのように使ってしまった疑惑がもたれている。記事を読む限り、領収書などの記録は政治活動とは関係ない私的な用途としか思えない者ばかりだ。詳細はぜひ当該記事をお読みいただきたいが、一部を紹介しておこう。
舛添氏は、千葉県にある高級リゾートホテル「龍宮城スパホテル三日月」で2013年1月、2014年1月に会議を開いたそうだ。この時の支出は2回分合計で371,100円になる。しかし、週刊文春の調べではこれは単なる家族旅行であって政治活動ではないそうだ。もし、舛添氏本人が指示して領収書の宛名などを書かせているとしたら、意図的な政治資金の流用だと疑われても仕方がない。それとも、家族がこの政治団体の役員などを兼任して、実際に会を運営しているのだろうか? 釈明が待たれるところだ。
また、同誌によれば「掛け軸、屏風、版画、あるいは美術関連などの書籍への支出は総額で実に九百万円以上に達する」とのことである。確かに、事務所に飾るインテリアとしてそれらが必要だったかもしれない。しかし、その金額はどう考えても、世間の一般常識を超えた金額ではなかろうか?