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【茨城】

外国籍児童の学びの場に JUNTOSハウス開設 水害被災民家を借り修繕

JUNTOSハウスで勉強するパラデン君(手前)ら=常総市で

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 関東・東北水害の被災地の常総市で、地域の再生や被災者支援に取り組んでいるNPO法人「コモンズ」が、床上浸水した市内の空き家を借り受けて修繕し、新たな活動拠点「JUNTOS(ジュントス)ハウス」を開設した。市内に多く暮らす外国籍児童の学習支援の場、また地域の人たちが集える場として活用していく考えだ。 (酒井健)

 人口約六万四千人の同市では、ブラジル人やフィリピン人など、人口の6%に当たる約四千人の外国人が暮らしている。「JUNTOS」は「一緒に」を意味するポルトガル語。ブラジル国籍の労働者が多いことにちなんで名付けた。

 コモンズは、活動の一環として二〇一一年、外国籍の子どもたちに勉強を教える「アフタースクール」を開始した。昨年九月の水害後には、いち早く「たすけあいセンターJUNTOS」を立ち上げ、被災した外国人に複数の言語で各種手続きや生活情報を伝える情報紙「JUNTOS通信」を発行するなどしてきた。

 ハウスは、同市水海道森下町にある木造二階建ての民家。水害前には既に空き家になっており、コモンズの活動を知った市外に住む所有者が活用を提案した。近くのビルの一室で開いていたアフタースクールの教室として再利用し、家庭的な雰囲気の中で、子どもたちに伸び伸びと勉強してもらおうと考えた。

 県内外のボランティアらが壁に生えたカビを取り除き、トイレや台所を修理して入居できるようにした。勉強用の座卓は、大工がボランティアで手作りした。外壁は、児童とボランティアの中学、高校生が一緒になって、サッカーブラジル代表のチームカラーのカナリア色(黄色)に塗り上げた。

 九日、ハウスに移って初めてのアフタースクールが開かれた。市内の小学校に通う外国籍の児童三人が、ボランティアに見守られながら国語や算数の宿題に取り組んでいた。

 昨年六月に来日したネパール国籍の小学五年生のパラデン・シェルパ君(11)は、両親が近くでレストランを営んでおり、被災後も営業を続けている。「平仮名は書けるけど、漢字と片仮名は難しい」とはにかんだ。

 ハウスでは、高校生らを対象に「市民レポーター養成講座」も開いている。受講者は今後、コミュニティーFM局「ラヂオつくば」の番組「ラヂオJUNTOS」(毎週月曜午後八時〜)内でリポートする。

 コモンズの横田能洋理事長(48)は「水害後、家がどんどん取り壊されて空き地に変わっている。ハウスにいろいろな人が集まり、市内外への発信や交流ができる活動が生まれてきてほしい」と話している。

 問い合わせは、たすけあいセンターJUNTOS=電0297(44)4281=へ。

 

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