熊本地震 今も車で寝泊まり 益城町で782人

熊本地震 今も車で寝泊まり 益城町で782人
k10010520721_201605140728_201605140729.mp4
震度7の地震を2度観測した熊本県益城町では、自宅の倒壊や余震への不安で家に帰れず、車の中で寝泊まりを続けている人が、13日の時点で少なくとも782人に上っています。
このうち町の幼稚園で教頭をしている渡辺倫子さんは、最初の地震が発生した先月14日から1か月の間、避難所になっている自宅近くの小学校の校庭に車を止め、中で寝泊まりを続けています。
渡辺さんの自宅は1階の窓ガラスなどが壊れ、応急危険度判定で「要注意」とされたうえ、夜になると震度7の揺れが起きたときの恐怖がよみがえり、家の中でよく寝ることができないと言います。
車の中が見えないよう、日よけのシートでフロントガラスに目隠しをして眠り、朝になると車でいったん自宅に戻り、家事を済ませたあと幼稚園に向かっているということです。
車で寝泊まりする生活が長引くなかで、いつになれば家に戻って余震におびえずに暮らせるようになるのか、先が見えない不安が大きいと言います。
渡辺さんは「余震が収まって、もう安全ですと言われれば自宅に戻れるかもしれないですが、今はまだ難しいです。早く安心して暮らせる日が来てほしいです」と話していました。

健康状態の把握が課題に

熊本県益城町の展示施設「グランメッセ熊本」では、相次ぐ地震で、発生の直後はおよそ2000台の車が集まり、数千人が車内で寝泊まりしていました。
施設によりますと、その後は徐々に減り続けたものの、いまだに100台程度が駐車場に残り、テントを張るなどして避難生活を続けているということです。
また、避難所などから自宅に戻った人の中にも、夜だけは自宅に止めた車に戻って寝泊まりする人たちも多く見られます。
現地で活動するNPO団体などによりますと、避難者は夜間や未明に激しい揺れを経験したうえ、いまだに余震が続いていることから、自宅で夜を過ごすことに不安を覚えているということです。また、プライバシーが確保されないなどの理由から避難所より車中泊を選ぶ人もいるということです。
こうした車中泊を続ける人の実態について、自治体は十分に把握できておらず、避難の長期化が見込まれるなか、エコノミークラス症候群など避難者の健康状態の把握が課題となっています。

テントで避難生活も

一方、益城町によりますと、13日の時点で763人が、総合運動公園に設置されたテントで避難生活を余儀なくされています。
このうち山田佳男(66)さんと明美さん(65)の夫婦は、一連の地震で自宅が大きく壊れて住むことができなくなりました。
2人は一時、県外に住む娘の家に避難していましたが、片づけをしようと地元に戻り、プライバシーが確保されるという理由から、避難所には入らずテントで寝泊まりしています。
山田さんは自動車整備業を営んでいて、日中は工場で片づけをしたり食事をしたりして過ごし、夕方になるとテントに戻ります。
2人とも長引く避難生活で食欲が落ちてきていて、特に山田さんは体調が悪化し、血圧を下げる薬や、めまいを改善する薬を服用しています。
山田さんは「この先、何がどうなるか分からないという不安があります。安全に暮らせるところを見つけるめどは全く立っていません」と話していました。また、妻の明美さんは「早く家の中で寝たいです。とにかく気力で頑張っていくしかないのですが、年を取っているから頑張りすぎないようにしようというのを合言葉にしています」と話していました。
テントでの避難生活について益城町は、梅雨に入ると状況は一段と厳しくなるとして、トレーラーハウスなどを活用した新たな避難所の準備を急いでいます。