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【大相撲】

勢、演歌魂で横綱鶴竜を撃破 敬愛する山本譲二に白星届けた

2016年5月13日 紙面から

勢(上)が小手投げで鶴竜を破る=両国国技館で(神代雅夫撮影)

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◇夏場所<5日目>

 (12日・両国国技館)

 新関脇の勢(29)=伊勢ノ海=が、横綱鶴竜を小手投げで下し2勝目を挙げた。演歌が大好きな勢は、先日も敬愛する歌手山本譲二からエールを送られたばかり。「演歌魂」全開で戦い、全勝の横綱に土をつけた。横綱白鵬は小結魁聖を寄り切って5連勝とした。大関陣は稀勢の里が宝富士を寄り切り、正代を寄り倒した豪栄道とともに全勝を守った。勝ちっ放しの3人を、平幕の遠藤らを含めた8人が追う展開になった。

 全勝の横綱に土を付けた。新関脇の勢が土俵際で鶴竜を豪快な右の小手投げでねじ伏せた。金星にはならなかったが、初場所の鶴竜戦以来の横綱撃破。「以前は緊張して変に力が入っていた。我慢して取れるようになった」と目を閉じたまま成長を実感していた。

 角界一を誇る美声の持ち主が「演歌魂」で戦っている。ウオーキングや自転車で部屋の近くを無心でブラブラすることが勢の日課。稽古場や本場所で高ぶった気持ちを落ち着かせるためだ。

 テンションが上がることもある。「歌っているかもしれません。サビに入るとグッとなるじゃないですか? 信号待ちしているときに周りの人から見られる時はある」。演歌好きなだけに手に力を入れてこぶしを握る動きをすることもある。

 先場所後、敬愛する人の元へ出掛けた。3月31日に大阪市の新歌舞伎座であった「瀬川瑛子・山本譲二コンサート」。勢がヘビーローテーションで聴く山本の「放浪(さすら)う…ままに」を生で味わった。

 「若い人に人気がある歌なんですよ。コンサートで『好きな歌なんです』って言ったら歌ってくれた」と勢は大喜び。日課のウオーキングで歌っているかは定かでない。だが、敬愛する山本の曲だけに気づけば口ずさむのかもしれない。

 新関脇の場所は序盤戦で2勝3敗。黒星先行にも「自分はブレずに演歌の気持ちでいこうと思う。『演歌魂』と言うんでしょうか。勢といえば、演歌だというイメージで。これからまた演歌ブームが来る」。山本からは「勝っても負けてもオレがついているからね」とエールももらった。敬愛してやまない山本の思いも背に、勢が魂のこもった戦いを続ける。(永井響太)

 

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