五輪招致巡る問題 明らかになった発端は
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2020年夏のオリンピックの東京への招致に関連して、日本側が国際陸上競技連盟に協賛金を支払ったと指摘されている今回の問題は、国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長らが、ロシア陸上界のドーピングの隠蔽の見返りに賄賂を受け取っていたとされる疑惑の調査や捜査の過程で浮上しました。
ディアク前会長の疑惑については、WADA=世界アンチドーピング機構の第三者委員会によって調査が行われたほか、フランスの検察当局が去年11月、ディアク前会長をドーピングを隠蔽した見返りに賄賂を受け取っていた収賄などの疑いで逮捕するなど捜査を進めてきました。
その結果、前会長の息子の知人とされる男性が代表を務めるシンガポールの会社の口座が、金銭のやり取りに使われていたことが判明し、検察当局は、前会長の息子パパ・マッサタ・ディアク容疑者をICPO=国際刑事警察機構を通じて指名手配しました。
さらにフランスの検察当局は、この会社の口座に2013年の7月と10月の2回にわたって、東京オリンピック招致の名目で日本の銀行の口座から合わせておよそ2億2000万円が送金されたことを去年12月に把握したとしています。そして、2020年のオリンピック開催地の選定を巡っても、容疑者不詳のまま贈収賄などの疑いで捜査中だとしています。
その結果、前会長の息子の知人とされる男性が代表を務めるシンガポールの会社の口座が、金銭のやり取りに使われていたことが判明し、検察当局は、前会長の息子パパ・マッサタ・ディアク容疑者をICPO=国際刑事警察機構を通じて指名手配しました。
さらにフランスの検察当局は、この会社の口座に2013年の7月と10月の2回にわたって、東京オリンピック招致の名目で日本の銀行の口座から合わせておよそ2億2000万円が送金されたことを去年12月に把握したとしています。そして、2020年のオリンピック開催地の選定を巡っても、容疑者不詳のまま贈収賄などの疑いで捜査中だとしています。
“金振り込まれた”会社 その実態は
フランスの検察当局によりますと、捜査の対象としている資金は、2013年の7月と10月の2回にわたって、シンガポールに拠点を置く会社の口座に振り込まれたとされています。
この会社について、シンガポールの登記簿には2006年4月に設立され、2年前の2014年7月に事業を停止したと記載されています。また、登記簿によりますと、会社の代表は国際陸連のディアク前会長の息子の知人とされているシンガポール人の男性が務めています。
この会社の所在地として、シンガポール東部にある公営住宅の1室が記載されていて、NHKの取材班がこの場所を訪ねたところ、男性の家族とみられる女性が応対し、男性が住んでいることを認めました。そのうえで、「自宅にはめったに帰ってこない」とだけ話して、それ以上の取材には答えませんでした。また、近所に住む女性は「家族は知っているが男性に会ったことはない。この公営住宅で会社を経営している人がいるなんて聞いたことがない」と驚いた様子で話していました。
この会社について、シンガポールの登記簿には2006年4月に設立され、2年前の2014年7月に事業を停止したと記載されています。また、登記簿によりますと、会社の代表は国際陸連のディアク前会長の息子の知人とされているシンガポール人の男性が務めています。
この会社の所在地として、シンガポール東部にある公営住宅の1室が記載されていて、NHKの取材班がこの場所を訪ねたところ、男性の家族とみられる女性が応対し、男性が住んでいることを認めました。そのうえで、「自宅にはめったに帰ってこない」とだけ話して、それ以上の取材には答えませんでした。また、近所に住む女性は「家族は知っているが男性に会ったことはない。この公営住宅で会社を経営している人がいるなんて聞いたことがない」と驚いた様子で話していました。
五輪招致巡る疑惑 見直された招致活動
オリンピックの招致活動を巡っては、2002年冬の大会の開催都市がアメリカのソルトレークシティーに決まる過程で、IOC委員に多額の金品が贈られるなどの買収疑惑が発覚して複数のIOC委員が処分され、招致活動のルールが見直されました。
ソルトレークシティーオリンピックの招致活動を巡る買収疑惑は、開催都市がソルトレークシティーに決まったあとの1998年に発覚し、開催都市を決める投票の投票権を持つIOC委員やその親族に、招致委員会側から多額の金品が贈られていたことが明るみに出て、20人のIOC委員が処分されました。それまでの招致活動には、明文化されたルールはなく、ソルトレークシティーオリンピックの買収疑惑をきっかけに、その前の長野オリンピックでも、過剰な接待などが繰り返された実態が明らかになり、IOC委員のモラルと、招致活動の在り方が厳しく問われました。
このためIOCは1999年に、立候補都市側がIOC委員を個別に訪問することや、IOC委員が立候補都市を訪問することを原則として禁止しました。そのうえで、IOC委員などで作る評価委員会が立候補都市を視察して開催計画を確認したあと、投票を行うIOC委員が参考にする評価報告書を作成する現在のルールを導入しました。
ソルトレークシティーオリンピックの招致活動を巡る買収疑惑は、開催都市がソルトレークシティーに決まったあとの1998年に発覚し、開催都市を決める投票の投票権を持つIOC委員やその親族に、招致委員会側から多額の金品が贈られていたことが明るみに出て、20人のIOC委員が処分されました。それまでの招致活動には、明文化されたルールはなく、ソルトレークシティーオリンピックの買収疑惑をきっかけに、その前の長野オリンピックでも、過剰な接待などが繰り返された実態が明らかになり、IOC委員のモラルと、招致活動の在り方が厳しく問われました。
このためIOCは1999年に、立候補都市側がIOC委員を個別に訪問することや、IOC委員が立候補都市を訪問することを原則として禁止しました。そのうえで、IOC委員などで作る評価委員会が立候補都市を視察して開催計画を確認したあと、投票を行うIOC委員が参考にする評価報告書を作成する現在のルールを導入しました。