バンドや音楽活動で売れない時は“キャッチコピー”を考えると問題点が見つかる【売れるための考察】
バンドやアーティストなどの音楽活動で飯を食いたい人は数多い。しかし、業界はかなり飽和状態であるのも事実。今回は、マーケティングの要素を使って、どのように自分たちを改善していくかを考えてみた。あくまで考察の域を超えないが、参考になれば幸いだ。
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経営学から見たバンドの売り出し方法
経営学…とかくマーケティングで言えば、在来企業によって押さえられている市場への新規参入戦略は4つ。差別化、チャレンジャー、ニッチ、高級化…の4つの戦略だ。これをバンドや音楽活動に置き換えると以下のようになる。- 差別化:他のアーティストとは違う活動をする。
- チャレンジャー:既に売れているアーティストと同じ路線で勝負する。
- ニッチ:少数だがコアなファンを狙える活動をする。
- 高級化:凄腕ミュージシャン起用や高価な機材の購入、高音質化、購入特典を豪華にするなど。
現実的なのは“差別化”や“ニッチ”
4戦略の中で、比較的現実的なのが差別化戦略とニッチ戦略。逆に、可能性に乏しいのがチャレンジャー戦略と高級化戦略だと考える。【1.差別化戦略の考察】
私が考える限り、一番健全で可能性がある方法がこの“差別化戦略”ではないかと思う。と言うのも、つい最近の分かり易い事例があるからだ。その一つはBABY METAL。アイドル業界は飽和状態であり、メタルはコアなファン以外からは疎遠にされがち。その2つを掛け合わせたパフォーマンスや楽曲は、他のアイドルやアーティストとは全く違う感触だ。
和楽器バンドも良い例だと思う。はじめは千本桜だけの一発屋だと思っていたが、HR/HM&和楽器という独自路線を貫き続け、今となっては朝のニュースに取り上げられるほどの知名度となった。
Gacharic Spinも最近インディーズからメジャーデビューを果たした勢いのあるガールズバンド。女性なのに演奏技術が高く、インディーズ時代はDVD音楽教材などにも登場していた。また、激し過ぎるステージパフォーマンスもガールズバンドの既成概念を超越しておりインパクトがあった。
BABY METALにせよ和楽器バンドやGacharic Spinにせよ、恐らく似たアーティストは過去にもいた。しかし、ここまで徹底的に差別化を貫き通した事が功を奏したのではと予測できる。
【2.チャレンジャー戦略の考察】
チャレンジャー戦略とは、既に売れているコンテンツと同じ品質で勝負する、いわばガチンコ正面衝突。Mr.ChildrenやB'z、ONE OK ROCK、BUMP OF CHICKEN、UVERworldなど、既に売れている人たちと同じ路線の活動をすることになる。恐らく、この手法はほとんどのアマチュアバンドが採用している方法だろう。つまり、ほとんどのバンドがこの手法で成功していないということだ。
一昔であれば、「ミスチルファンだから、フォロワーバンドも応援しよう」といった風潮もあったかもしれない。しかし、今となっては「わざわざ類似品を買う必要はないな」と言った具合の方が多いだろう。良くてYouTubeの無料MVを見てもらえる程度。
天才的な才能、圧倒的なカリスマ性、そして運が必要な戦略。一考する余地はあるが、これに依存しきってしまうと中々難しい道のりが予測できる。
【3.ニッチ戦略の考察】
少数だが確実にコアなファンがいる層をターゲットにする戦略。市場が小さすぎると無駄骨になってしまうものの、ある程度の可能性は見込めるのではないかと思う。以前、音楽ニュースサイトで取り上げられた「ベース1本で曲を演奏する」という動画が話題になった。プラグを差し込むときのノイズや、ボディを叩いたときの音を上手く組み合わせて鮮やかなアンサンブルを披露した。これが日本のチャートを独占することは無いが、好きな人は好きだろう。
また、ニッチ系を攻めていたつもりが、差別化戦略として花咲く事もある。
【4.高級化戦略の考察】
これは戦略的には真っ当なことで、大手などは必ずやっている。ディナーショーなどは、大人気のアーティストの歌とトークを高級料理とともに楽しめることで需要がある。クラシックコンサートなども最高レベルのプロフェッショナルが集まる場だ。問題は、インディーズバンドの財政では現実的ではないということ。100万や200万円では全然足りないので、クラウドファンディングを利用しても限界があるだろう。金が捨てる程余っているなら選択肢に入れても良いかもしれない。
音楽業界は不毛な“イス取りゲーム”状態
バンドやアーティストなどの感性による商売に、なぜマーケティング要素を持ち出したのかと言えば、この業界は“不毛なイス取りゲーム”状態だからだ。ホリエモンチャンネルなどでも時々言われているが、そもそも芸能界そのものが飽和している。必要な人数に対して、目指す人が多過ぎるのだ。
当然ながら買い手市場になる。夢を追うアーティストやバンドたちの多くが都合よく利用されてしまうのも、これが原因だろう。しかし、企業側の財源も限りがあるので仕方ない。
つまり、天才的な才能と運に頼らずに、自ら栄光の道を切り開いて音楽家を目指す人にとって、マーケティング(売れる仕組み作り)は避けて通れない道なのだ。どうやって“イス取りゲーム”のイスを確保するか、あるいは、どうやって自分が座れるイスを増やすか。
キャッチコピー=自分だけの強み
私も人の事を言えた立場ではないことを承知の上で書くが、売れないバンドやアーティストの多くはは特徴が無い。いわゆる「普通に良いバンドだよね」と言われるパターン。パフォーマンスや演奏技術があり、容姿も悪くないのに、なんかイマイチ。そんなアマチュアバンドを山ほど見てきた。逆に言えば、一定の技術や能力を持っているのだから、あとは自分たちの特徴を出して他のアーティストと差別化ができれば、平凡なバンド層から一気に飛躍できる可能性があがるのではないか。…というのが、本記事で一番重要な考察ポイントである。
そこで出てくるのが、自分たちの“キャッチコピー”を考える行為。
キャッチコピーとは1フレーズで企業や商品を言い表したもの。吉野家なら「はやい、やすい、うまい」。ミツカンは「やがていのちに変わるもの」。マスターカードは「お金で買えない価値がある」などなど。
つまり、巨大掲示板でよく見かける「1行でまとめて説明して」のようなもの。このキャッチコピーを個性的に作れるかどうかで、あなたの音楽活動がどれだけ差別化できているかが分かる。
実際にバンドのキャッチコピーを作ってみる
それでは、実際に自分たちのキャッチコピーを作ってみよう。そして、それが個性的かどうかを見てみよう。例えば「激しいロックバンド」というフレーズ。こんなバンドは腐るほどいる。“ロック”と言う単語も、ハードロックなのかパンクロックなのかJロックなのか曖昧だ。
「心に響く歌」はどうだろうか。おそらく、存在するすべてのバンドやアーティストは心に響く歌を作ろうと日々努力しているだろう。
「今までにない快感!」としたとしよう。これは興味をそそられるが、実際に曲を聞いたときに快感が無かった場合に信用を失ってしまう。
どうだろう。案外難しくないだろうか。
つまり、そういうことなのだ。これが飽和している音楽界隈の現実だ。ちょっと考えたくらいじゃ差別化なんてできない。
“平凡だった”と気づいた今日が第2の結成日
ここまで読んで「なんだよ!結局あきらめろってことかよ!時間の無駄だったわ!」と思う方もいるかもしれない。ごもっともだ。ただ、一番重要なのは「自分たちの平凡さに気付く」事だと思う。多くのアマチュア・アーティストたちは、自分たちが売れない理由をよく知らないまま引退しているようだ。そして「まぁ、音楽業界なんてコネと運だけだよ」と愚痴を漏らしている。確かにコネと運は大切だ。
しかし、それ以外にも理由があったのではないだろうか。他にはない、自分たちだけの価値を見出す努力を怠っていたのではないだろうか。マーケティング的に言えば、客から“必要とされている音楽”を提供できていなかったのではないだろうか。
自分たちのキャッチコピーを作る行為は、そういった問題点を浮き彫りにする。自分たちは、予想以上に平凡だったんだと気が付く事ができる。それが分かれば、今から新たにスタートするだけだ。誰にもマネできない、唯一無二のバンドを目指せばいい。
どうやったら唯一無二の個性的なバンドになれるか…と言う問いには、平凡な筆者は答えられない。しかし、音楽業界のプロたちが様々な著書で解決策を提示している。まずは彼らの考えに触れるところから始めてみては如何だろうか。
以下にプロの現場で働く人たちの書籍をまとめた。
本気でバンドを仕事にしたい人へ
老舗ライヴハウス“下北沢屋根裏”のブッキング・マネージャーによるバンド運営のノウハウ。 ライブハウス関係者が書籍として情報を公開しているのは珍しい。プロ歴30年の音楽家が提示する心得
ギタリストとして、そして作曲家・プロデューサーとして活躍してきた小川悦司さんの著書。ゴールデンボンバー鬼龍院翔さんの特別記事も掲載。名プロデューサーたちの金言集
バンプ・オブ・チキンやサカナクションなど大御所バンドのプロデューサーやディレクターによる著書。音楽業界のビジネス書。セルフマネジメントの必読書
自分たちの力で自分たちを売り出すという、音楽のセルフマネジメントに関する書籍。 音楽事務所やレーベルに頼り切った音楽活動が徐々に崩壊しつつある現代には重要。SNSの時代、いかに音楽を売るか
ツイッターやフェイスブックなどに代表されるSNSと、リアルで行うライヴを、どのように両立していくか。そんな現代特有の売り出し方を業界関係者たちが解説。音楽のためのマーケティング
音楽業界でのマーケティング(=売れる仕組み作り)方法を記載した書籍。アマゾンでの評価も高い。音楽業界の動向を知る
音楽プロデューサー大川正義さんが解説する音楽業界。新しい音楽ビジネスの講義
音楽事務所社長でプロデューサーでもある山口哲一さんによる39トピックスの講義。【関連記事】
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