JOC 疑惑の口座への支払いは……
東京オリンピック招致を巡る買収疑惑、日本は五輪をカネで買ったのか。英紙「ガーディアン」の報道で疑惑が指摘された11日から2日が過ぎた13日、JOC(日本オリンピック委員会)は、疑惑の口座への支払いを「コンサルタント料だ」という声明を発表し、買収代金との疑いを否定した。
東京での開催決定については「フェアな招致活動の結果であり、招致計画が正当に評価されたものであると今でも確信している」という。ガーディアンの報道では、このコンサルタント料が振り込まれた口座を管理していたのは、大手広告代理店「電通」の関係者と指摘していたが、今回の声明には電通の名前は出てこない。
電通はBuzzFeed Newsの取材に対し、この人物を「コンサルタントとして雇った事実はない」などと関係を否定している。
問題のカネの動きは、東京五輪の開催が決まった2013年にあった。捜査をしているフランス検察当局によると、東京五輪の招致委員会が2度にわたり、国際陸上競技連盟の会長を務めていたラミン・ディアク氏の息子パパマッサタ・ディアク氏が関与するシンガポールの口座に計約2億2000万円を振り込んでいたという。
ガーディアンによると、ラミン・ディアク氏は国際陸連の会長を16年間務め、パパマッサタ氏は国際陸連の「コンサルタント」。周辺を親子や私的なグループで固めていた。会長時代にロシア選手のドーピングをもみ消す見返りに少なくとも約100万ユーロの賄賂を受け取った疑惑があり、既にフランス当局の捜査を受けている。シンガポールの口座はこのドーピング隠しに絡む金銭授受にも使われていた。
この口座を管理していたのが、パパマッサタ氏と親しい友人であり、ディアク親子とビジネス上のつながりを持っていたとされる、Ian Tan Tong Han氏だ。ガーディアンは同氏を「電通」の関係者だとする。
BuzzFeed Newsの取材に、12日時点で「招致委は解散しており、組織委に引き継がれた。私たちが報道に答える立場にない」と答えていたJOCだったが、フランス当局が捜査を開始したという報道を受け、13日、JOC会長で招致委では理事長を務めた竹田恆和氏、事務局長の樋口修資氏の連名で冒頭の声明を発表した。
JOCの声明では、Ian Tan Tong Han氏と同一人物とみられる「MR.TAN」の名前をあげ、「MR.TAN」の会社から「受けたサービスに対するコンサルタント料であり、これは新日本有限責任監査法人により正式に監査を受けたものである」と正当な支払いであるとする。
招致委員会は「正式な業務契約に基づく対価支払いを行なったものである」とし、「契約した会社は大変実績のある代理店であり、その実績に期待し契約を行なったものである。彼らは、アジア中東の情報分析のエキスパートであり、その分野におけるサービスを受け取っている。契約に基づく業務に対する対価の支払いであり、なんら疑惑をもたれるような支払いではない」と主張する。
招致活動の経費は、「2020年オリンピック・パラリンピック競技大会 招致活動報告書」で概要が説明されている。それによると、2011年9月から開催都市が決定した2013年9月までの約2年間で、招致活動の経費総額は約89億円だった。
以下、声明の全文を画像で公開する。