健康に気を使っている人や、ハードにトレーニングをしている人の多くがサプリメントをを利用していると思う。特にトレーニーたちのサプリメントに対する興味は尽きることなく、ジムの中でサプリメントに関する話題で盛り上がっている。
サプリメントに効果がない、使うべきではない、などと言うつもりはない。自分にとってそのサプリメントが本当に必要か?よく考えてからサプリメントを利用してほしい。そんな思いからぼくのサプリメントに対する考え方と、ぼくの主観で選んだ各サプリメントの評価などを書き綴っていこうと思う。
ちなみに、この記事ではサプリメントに対する知識や、利用にあたっての心構えを知ってもらうのが目的なので、個別の商品の紹介は行わない。
サプリメントに関するまとめ
- サプリメントの分類
- サプリメントのメリット&デメリット
- ぼくの選ぶサプリメント評価
- サプリメントの心得
1.サプリメントの分類
初めにサプリメントの種類について大きく分けたいと思う。サプリメントは日常的に不足しがちな栄養素を補うタイプの”ダイエタリーサプリメント”と競技パフォーマンスやトレーニング効果を高めることを目的とした”エルゴジェニックエイド”に分かれる。
ダイエタリーサプリメント/Dietary Supplement
日常の食生活で不足しがちな必要栄養素を補うタイプのサプリメントで一般的にサプリメント言われるとこのタイプを思い浮かべる人が多いだろう。生活上の理由でつねにバランスのよい食事が用意できるとは限らない。そのような場合、低用量のビタミン・ミネラルなどをサプリメントから摂取するのはアリだと考える。
エルゴジェニックエイド/Ergogenic Aid
多くの運動愛好家が熱心になっているタイプのサプリメント。筋力の向上やトレーニングからの回復などの効果が謳われているが、多くのエルゴジェニックエイドの効果にエビデンスがないことを理解してほしい。それぞれのデータから都合のいい面を切り取りメーカーが過剰に宣伝しているケースもある。しかし良くコントロールされた条件下では効果は無い、もしくは小さいという結果が出ていることも多い。
2.サプリメントのメリット&デメリット
メリット
- 手軽に栄養素を摂取できる(調理等の手間)
- タイムリリース※1やキレート加工※2による吸収率の良さ(前者は水溶性ビタミンが主、後者はミネラル)
- 食事に比べて摂取量の調整が簡単
- 栄養に対するコストは食事より圧倒的に安い(例.タンパク質あたりの価格は食事よりプロテインパウダーの方が安い)
- 組み合わせの調整が簡単(例.水溶性食物繊維と良質な脂質をずらして摂取出来るなど)
- タイミングの調整が簡単(例.運動後にプロテインシェイクを飲むなど。※3)
デメリット
- 手軽さゆえに食事がおろそかになりやすい
- 必要のないサプリメントまで購入してしまう
- 栄養素を過剰に摂取してしまうリスク(脂溶性ビタミン、ミネラルなど)
※1 サプリメントをコーティング等ですぐに消化されないようにし、吸収をゆっくりにすることで、すぐに排泄される水溶性ビタミンなどを有効に利用する事が出来る。
※2 吸収率の低いミネラルを特定のアミノ酸等でコーティングして吸収率を上げる
※3 運動後にプロテインを摂取する必要は無いという意見もある。
参考文献
3.ぼくの選ぶサプリメント評価
ぼくの主観ではあるが、これはあっても損は無いだろうと言うサプリメント、これは必要ないと言うサプリメントをいくつか紹介したいと思う。ここでは趣味で筋トレやダイエットをしている人がよく利用するメジャーなサプリメントを取り上げていく。
まず用意したいサプリメント
体つくりでサプリメントを利用するなら、最初に用意したいサプリメント。これらを用意しないで他のサプリメントを利用しても体つくりの効率は上がらない。
プロテイン
筋肉を付けるにも、減量するにもタンパク質は最重要の栄養素だ。もちろん食事から必要なタンパク質を摂れていれば利用する必要はないが、食事から必要量を摂るのは大変だし、コストの面でもプロテインが優る。種類や飲むタイミングより、まずは1日の必要量(体重×2g)のタンパク質を摂取しよう。
マルチビタミン・ミネラル
タンパク質を必要量摂取出来ていても、それを効率良く利用する為にはビタミンB群を始めとした微量栄養素が必要となる。中には超高含有量のメガビタミン等の商品もあるが、微量栄養素については不足しない事が大事と考えているので、メガビタミン等は必要無いだろう。特にミネラルや脂溶性ビタミンに関しては過剰摂取による弊害の心配もあるので気をつけたい。アイアンフリータイプ(鉄が入っていない)をぼくは選ぶようにしている。
金銭的に余裕があれば用意しても良いサプリメント
ここからはトレーニングの効率を少しばかり向上させるサプリメントなので、無理に用意する必要はないが、少しでもトレーニング効率を上げたいという人は用意してもいいだろう。
クレアチン
大きなパワーを発揮するときのエネルギー源となる。筋中に水分を引き込み除脂肪量を増やし、筋力を高める。エルゴジェニックエイドと言われるサプリメントで唯一、多くの研究で効果が支持されてる。値段が安いので負担にもならない。多くのサプリメントの中で最も効果を体感できるサプリメント。
ただし、これらの研究で支持されているのは最も基本的なクレアチンモノハイドレードであり、メーカが推している高価なクレアチンHCLなどは必要無いだろう。
フィッシュオイル
ω3脂肪酸(DHA、EPA)は循環器系の健康維持や炎症の抑制といった効果に加えて、脂肪の燃焼の手助けになる可能性が示唆されている。青魚に多く含まれることで知られているが、そのような魚を食べる習慣が無ければサプリメントの利用を考えてもいいかもしれない。商品の性質上、あまりに安い物は避けたほうがいいだろう。
用意しなくても良いサプリメント
趣味レベルで体つくりをするのであればこれより下で紹介するサプリメントは必要ないだろう。
グルタミン
筋肉内の遊離アミノ酸の6割を占めるグルタミン。免疫系のエネルギー源であり、ストレスホルモンである”コルチゾル”を抑制する。ぼくも以前はグルタミンのファンだったが使用しても特に変化を感じなかったので、今は使っていない。(元々、体感できるタイプのサプリメントでは無いが…)
もし利用するのであれば、タイミングとしては朝、トレーニング後、就寝前が考えられる。トレーニング前の摂取は血中のアンモニア濃度が高まり、トレーニング効果にネガティブな影響を及ぼすリスクがあるので避けたほうが良いだろう。
BCAA
非常に人気の高いサプリメントだが、空腹でトレーニングする場合でなければ必要ない。例えば昼食を普通に食べて、夕方に運動するということであればBCAAを摂取する意味は余りないと思われる。長時間、食事を摂らないで運動する場合は、BCAAを運動前に摂取することで、筋肉の分解を抑制できる可能性がある。
買わないほうがいいサプリメント
ここからは効果に疑問がある、もしくは効果に対して値段が釣り合っていないと思う物をあげていく。
CLA(共役リノール酸)
ダイエット効果を謳っているが、コンテストレベルの減量でもない限り、ダイエットを補助すると言われているサプリメントを用意する必要は無いだろう。定性的には効果はあると考えれれるが、 その効果の大きさがよくわからないのも理由。
テストステロンブースター系全般
マカ、トリビュラス、トンカットアリなど”男性機能を高める”と謳っているサプリメントの多くは科学的なエビデンスに乏しい。テストステロン(男性ホルモン)レベルを高めるには運動(特に筋トレ)をしたほうがお金もかからないし効果的だ。
コンプレックス(複合)サプリ
メーカー独自の配分でアミノ酸などを配合したサプリメント(アミノ〇〇みたいな商品)これらの多くは非常に高価で、どの成分も中途半端な量であることが多い。アミノ酸であれば必要な物を単体で買ったほうが効果があるし、経済的だ。
ヨヒンビン
血流を増やす作用によって勃起力向上やダイエット効果があるとされているが、危険な副作用(死亡例もあり)の恐れがあるので使用しないほうがいい。
4.サプリメントの心得
ここまでサプリメントについての知識や各サプリメントの評価を紹介したが、何よりも大事なのは食事である事を忘れないで欲しい。僕自身、トレーニングにハマっていく過程で、多くのサプリメントを利用してきたが、効果があったと思えるものは驚くほどに少なく、かなりのお金をムダにしてきた。サプリメントに夢中になるあまり、食事に対する意識が低くなっていたのも事実で、反省している。
この記事が、少しでも僕がした後悔をする人間が少なくなる手助けになれば嬉しい。メーカーの販売員やジムのトレーナーさんにサプリメントの購入を勧められても、「本当にそのサプリメントは自分に必要か?」をよく考えてから購入を決断して欲しい。
サプリメントだけでは身体も健康も作れない。何よりも大切なのは食事、睡眠、運動と言った生活習慣である事を常に頭に置いて欲しい。
昔の僕のようなサプリでっかちにならないようにご注意を…
関連記事