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『少女前線』にいったい何が?運営と開発に亀裂、元運営が語る真相とは

『少女前線』にいったい何が?運営と開発に亀裂、元運営が語る真相とは

2016年5月13日(金) 21時35分

2015年7月に設立されたWave-Gamesは、主要メンバーの多くが日本のアニメ文化の影響を受けており、中国だけでなく日本向けのコンテンツに関しても意欲的な姿勢を見えて活動。『少女前線』も、日本展開を視野に入れたタイトルのひとつでした。



『少女前線』は、開発チーム「MICA-team」が同人時代に制作した軍事シミューレーションRPG『面包房少女(CODE NAME:BAKERY GIRL)』の世界観を継承する戦略育成シミューレーションゲームです。とある民間軍事企業(PMC)の「指揮官」となり、銃の美少女化となる「自律型少女人形兵器」を収集・育成・編成し、敵へと立ち向かいします。



Wave-Gamesは2015年9月に、『少女前線』の中国および日本における独占ライセンス契約をMICA-teamと締結。中国では今年の3月に、また日本では2016年夏以降のリリースが予定されており、国内外で注目を集めていました。



◆沈黙からの衝撃発言


ですが、日本向けの公式Twitterの動きが2月の中旬頃に止まり、しばらく音沙汰のない状態に。そして1ヶ月以上経過した3月29日に近況報告が行われたものの、「一段落ついたら、情報公開いたします」と発言し、また1ヶ月ほど沈黙します。そして本日、現状を伝える新たな発言が寄せられました。


中国向けのAndroid版公開テストを5月20日に実施するとの報告は、正式サービスに向けた大きな一歩であり、待ち望んでいたファンにとっては朗報と言えるでしょう。しかし、「事情によって元運営とのコラボが解除」との一文は、さきほど触れた朗報を上回る衝撃的な一言でした。(なお、該当の発言は現在削除されています)

運営の変更は、モバイルゲームやオンラインゲームではよくある話です。しかしリリースの遅れや沈黙していた期間などを踏まえると、どこか不安な気持ちになるのも無理のない話でしょう。一体何があって、リリース前の大事な時期に体勢が大きく変わったのか。そして、日本版のリリースはどうなるのか。かつての運営と開発の間に何があったのか、Wave-Gamesの金傑氏に直接話を伺いました。

◆開発と運営の関係に亀裂が


金傑氏の話によれば、旧運営と開発の関係に亀裂が入ったのは、昨年の10月26日に中国で実施した2回目のβテストがきっかけでした。βテスト当日、サーバーがダウンしてしまいますが、この問題は旧運営側の責任だと開発側が主張。ですがサーバーダウンの原因はデータベース側のプログラムが正常に働かなかったためであり、「サーバー側の問題ではなく、サーバー自体は落ちていなかった」と金傑氏は語ります

そして今年の1月25日に3回目のβテストが実施。このテストは、登録者ならば誰でも参加できる大規模なものでしたが、データベースの問題はまだクリアされておらず、再びサーバーがダウン。1週間以上復帰できない事態となりましたが、この時も「運営側の責任」と開発側が責任を押しつけたとのこと。

データベースの管理やプログラミングは、開発側の担当でした。しかし1月25日にサーバーがダウンした件では、運営側がデータベースの修復を担当。経験が浅いため「開発側の人間は何も出来ない状況だった」と述べています。

◆さらに事態が悪化


この時点でも良好な状態とは言えませんが、この状況が更に悪化する事態に。開発側が、別のパブリッシャーを探していることが明らかになったのです。なんと中国大手のテンセントなど複数の企業に打診し、3月中旬頃には新たなパブリッシャーと契約。いわゆる二重契約状態となります。

予定では3月頃に中国版を正式リリースする予定でしたが、サービスを提供するどころの状態ではなくなり、Wave-Gamesは開発側と話し合いの場を設けます。開発側の言い分としては、最初の契約金が少なかったことが理由に。またサーバーの一件などで、Wave-Games側に対する不満を募らせていた模様です。

Wave-Gamesが契約した段階で支払った金額は、日本円で2,000万円ほど。規模や期間なども関わるため、適正な金額かどうかは第三者には判断がつきにくい点ですが、金傑氏は「(規模などを踏まえると)2,000万円は、中国のゲーム市場の平均的な額よりも高いものです。また利益の分配は、通常パブリッシャーが7割で、開発が3割。しかし『少女前線』では、弊社と開発は5:5と、山分けの形になっていました」と、金銭面で充分な配慮をしていたと語ります。

◆和解するも、新たな展開に


この時の話し合いは、4月1日に和解を迎えます。そして4月10日までは、正式リリースに向けた準備や作業が進んでいました。しかし、4月11日に開発側が引っ越しを行い、以後はメールや電話をしても連絡が全く取れない状態に。Wave-Games側のコンタクトを完全に拒絶する形が、今現在に至るまで続いているそうです。

事態はいよいよ極まり、Wave-Gamesは弁護士への相談に踏み切りました。Wave-Gamesは『少女前線』に関して、1年間の時間と1億円ほどを費やしています。訴訟も辞さない対応に踏み切るのも、無理のない話と言えるかもしれません。中国メディアなどに対して開発側は、Wave-Gamesと交渉中で「なかなかコンタクトが取れない」と発表していますが、「実際に向こうからのメールや電話などはない」と金傑氏は繰り返し述べます。

なお、本来であれば『少女前線』は、1月25日のβテストのデータが正式版にも引き継がれる予定でしたが、20万人のアカウントデータなどはWave-Gamesが管理しており、開発元は取得できない状態です。また、音声・イラストなどの使用権利に関してもWave-Games側が保有しているものもあり、そういったデータや権利に関しては「向こうの姿勢が分かっている以上、渡せない」としています。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

「日本版がリリースされるかも分からないとし、もし日本に来ることがあったとしても、Wave-Gamesは関与していないでしょう」と語る金傑氏。このたび新たな発表を行った日本向け公式Twitterに関しても、「3月29日の発言(近況報告)は弊社も関与していますが、5月12日のもの(Android公開テスト、元運営とのコラボが解除)は開発側による発言です」としており、関係の隔絶は決定的なようです。

「近い将来、2つの会社が法廷に立つ感じになると思います」と呟いた金傑氏の声は、どこかやりきれなさを感じさせました。その内に抱えているものの重さは分かりませんが、『少女前線』に関わった方々が納得できる形に着陸できるよう願うばかりです。

なお、MICA-team側のコメントは確認が取れ次第お届けします。

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(Article written by 臥待 弦(ふしまち ゆずる))

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