生活向上へ新法検討も確認
アイヌ政策推進会議(座長・菅義偉官房長官)が13日、首相官邸で開かれ、アイヌ民族の生活向上を図る新法制定などを検討する方針を正式確認した。東京五輪に合わせ、2020年度までに北海道白老町に整備するアイヌ文化振興の複合施設の名称を「民族共生象徴空間」とすることも決まった。
会議では施設の整備・管理方針▽全国的なアイヌの生活・教育支援などの施策展開▽国民理解促進−−について作業部会の報告書が了承された。報告書はアイヌの生活向上策について「法的措置の必要性も総合的に検討を求めたい」とした。菅官房長官は「しっかりと将来的に検討していきたい」と述べた。
白老町のポロト湖畔約10ヘクタールに設ける象徴空間の中核区域は「国立アイヌ民族博物館」や「国立民族共生公園」など6施設で構成。20年度の一般公開に向け17年度に国と北海道、道アイヌ協会などの運営協議会が発足する。
さらにポロト湖東側の高台の民有地約4・5ヘクタールを取得して慰霊施設を整備する。北海道大などが研究のため収集・保管するアイヌの遺骨のうち、身元が特定されていない分を集約する。19年度中の完成を目指し、尊厳を守る施設とするため一般には公開しない。
新法などの検討について、道アイヌ協会の加藤忠理事長は「アイヌが百数十年求めてきたことが二歩も三歩も進もうとしている」と歓迎。北海道の高橋はるみ知事は「アイヌの人たちの意向を十分踏まえて政策を展開していただきたい」と話した。【三股智子】