時代の正体〈312〉憲法カフェ(上) 忖度なんてしない
- 特報|神奈川新聞|
- 公開:2016/05/11 10:06 更新:2016/05/12 14:35
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日本国憲法の施行から69年。憲法をテーマにした勉強会やイベントが街中で行われている。憲法は私たちの暮らしにどう関わっているのだろうか。子育て中の母親らが企画した「憲法カフェ」では、弁護士の太田啓子さんと料理研究家の枝元なほみさんが対談。日々の生活に根ざした「憲法論」を語った。
「生き方が変わった」
太田 2013年4月、憲法カフェを始めました。なぜ「憲法カフェ」なのかというと、本当にカフェでやっているからです。カフェ以外にも公民館や教会、幼稚園、保育園、サーフショップもありました。
枝元 憲法カフェに「来たいなぁ」と思ったのは、人とつながりたいと思ったからなんです。東日本大震災の前と後とでは、生き方がすごく変わりました。「食」が仕事なのでTPP(環太平洋連携協定)も反対だし、原発再稼働もあり得ないって思っている。いろいろなことを考えると勉強しなきゃいけないんだけど、勉強しきれない。どうやって判断していくんだろうと考えたとき(同じ思いや疑問を持つ人たちと)つながっていきたいと思ったんですよね。
太田 「つながりたい」って本当に思う。どうして憲法カフェをやっているかというと東日本大震災がとても大きい。震災直後に次男の妊娠が分かったんです。当時、上の子が2歳半。原発事故が起きて「怖い」というのがあったけれど、何をすればいいのか全然分からなかった。
太田 11年末、長男の尿検査をしたんです。放射能が入っていないか、検査をして「不検出」という結果を見て安心したかったんですね。でも「検出」の結果が出た。安心したかったのに不安になってしまって…。影響がゼロではないな、と。そのとき「同じように子育てしている人たちには言ったほうがいいかもしれない」と思って親たちへの注意喚起の趣旨で、あるメーリングリストで書いたんです。でも、何の反応もなかったんですね。そのことがとてもショックでした。
枝元 私は「これ食べてみて」と人に勧めるのが仕事なので、3・11の後は困ってしまいました。震災2カ月後くらいかな、料理でキンメダイとアサリを使おうと思ったんです。スーパーに買い物に行って、魚売り場の前に立ったんだけど「どう考えても、今は放射能の数値、やばいんじゃないの?」って思ったの。売り場の前でアサリとキンメダイをずっと見詰めながら「う~ん」ってうなって、結局、買うのをやめました。「ごめんね」ってキンメダイとアサリに謝って。
太田 家族のご飯をつくるお母さんたちは、本当に悩んでいましたよね。
枝元 キンメダイを買うのを迷ったとツイッターで書いたら、いろいろな女の人から「人には言えないけど、私も心配でスーパーの棚の前で一人どうしようって思っていた」といったメッセージをたくさんもらったの。みんな言えないんだよね。農家や漁師さんに悪いような気もするし、心配し過ぎているんじゃないかと考えてしまう。それなのに、政府はのうのうと「ただちに健康への影響はありません」だったでしょ。「なんなの、あの人たち」って思った。一人一人が分断されて、あたかも「個人の判断しかない」みたいにされて腹が立った。そのとき、私は「もっと自分の気持ちを言っていきたい」って思った。
太田 憲法カフェの後に、参加者に「質問とか、感想とかありますか?」と言ってもすぐには出ないんです。それで一人一人、自己紹介を兼ねて話を聞いていくと「放射能のこと怖かったのに、周りがみんな平気だよ、みたいな顔をした」とか「夫と話が合わなくなってすごく苦しい」とか、誰かが言うと「私も!」と次々と反応があり、盛り上がったことがあったんです。「今日、話せてうれしかった」という声もあって、みんな話したいんだなって思った。
「生き方が変わった」
太田 2013年4月、憲法カフェを始めました。なぜ「憲法カフェ」なのかというと、本当にカフェでやっているからです。カフェ以外にも公民館や教会、幼稚園、保育園、サーフショップもありました。
枝元 憲法カフェに「来たいなぁ」と思ったのは、人とつながりたいと思ったからなんです。東日本大震災の前と後とでは、生き方がすごく変わりました。「食」が仕事なのでTPP(環太平洋連携協定)も反対だし、原発再稼働もあり得ないって思っている。いろいろなことを考えると勉強しなきゃいけないんだけど、勉強しきれない。どうやって判断していくんだろうと考えたとき(同じ思いや疑問を持つ人たちと)つながっていきたいと思ったんですよね。
太田 「つながりたい」って本当に思う。どうして憲法カフェをやっているかというと東日本大震災がとても大きい。震災直後に次男の妊娠が分かったんです。当時、上の子が2歳半。原発事故が起きて「怖い」というのがあったけれど、何をすればいいのか全然分からなかった。
「キンメダイとアサリに謝った」
太田 11年末、長男の尿検査をしたんです。放射能が入っていないか、検査をして「不検出」という結果を見て安心したかったんですね。でも「検出」の結果が出た。安心したかったのに不安になってしまって…。影響がゼロではないな、と。そのとき「同じように子育てしている人たちには言ったほうがいいかもしれない」と思って親たちへの注意喚起の趣旨で、あるメーリングリストで書いたんです。でも、何の反応もなかったんですね。そのことがとてもショックでした。
枝元 私は「これ食べてみて」と人に勧めるのが仕事なので、3・11の後は困ってしまいました。震災2カ月後くらいかな、料理でキンメダイとアサリを使おうと思ったんです。スーパーに買い物に行って、魚売り場の前に立ったんだけど「どう考えても、今は放射能の数値、やばいんじゃないの?」って思ったの。売り場の前でアサリとキンメダイをずっと見詰めながら「う~ん」ってうなって、結局、買うのをやめました。「ごめんね」ってキンメダイとアサリに謝って。
太田 家族のご飯をつくるお母さんたちは、本当に悩んでいましたよね。
枝元 キンメダイを買うのを迷ったとツイッターで書いたら、いろいろな女の人から「人には言えないけど、私も心配でスーパーの棚の前で一人どうしようって思っていた」といったメッセージをたくさんもらったの。みんな言えないんだよね。農家や漁師さんに悪いような気もするし、心配し過ぎているんじゃないかと考えてしまう。それなのに、政府はのうのうと「ただちに健康への影響はありません」だったでしょ。「なんなの、あの人たち」って思った。一人一人が分断されて、あたかも「個人の判断しかない」みたいにされて腹が立った。そのとき、私は「もっと自分の気持ちを言っていきたい」って思った。
太田 憲法カフェの後に、参加者に「質問とか、感想とかありますか?」と言ってもすぐには出ないんです。それで一人一人、自己紹介を兼ねて話を聞いていくと「放射能のこと怖かったのに、周りがみんな平気だよ、みたいな顔をした」とか「夫と話が合わなくなってすごく苦しい」とか、誰かが言うと「私も!」と次々と反応があり、盛り上がったことがあったんです。「今日、話せてうれしかった」という声もあって、みんな話したいんだなって思った。
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