3Dプリンターを使い、亡き家族の生前の姿を小さな人形にするサービスを大阪の業者が始め、静かな人気を集めている。約2年前に小5の長女を亡くした父親の思いが、遺影ならぬ「遺フィギュア」誕生のきっかけとなった。
スニーカーを履き、肩からかばんをかけた活発そうな少女が笑顔で両手を広げていた。石膏(せっこう)製の高さ約30センチのフィギュアは、横に飾られた写真から少女だけが飛び出してきたように、細部まで綿密に再現されている。
加藤聡さん=仮名=は3月、香川県善通寺市の自宅で、いとおしそうにそっとフィギュアを抱いた。「こんなに心が安らぐとは想像していませんでした。写真とは違う存在感があり、つい話しかけてしまうんです」
樹脂などを重ねて立体物を作る3Dプリンターが普及し始めていた約2年前、加藤さんは立ち寄った大型雑貨店での実演販売に目がくぎ付けになった。写真が4枚あれば、ペットのフィギュアができるとの説明だった。
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