意思決定のスピードと精度を高める
7つのステップ
意思決定の向上とは、認知バイアスを排する作業といえる。ビジネス上の意思決定を助けるクラウドソリューションの提供者である筆者が、バイアスを減らす最も効果的な方法を7つのステップに集約して紹介する。
世界各地のマネジャーは年にのべ30億件もの意思決定を下しているが、そのほとんどは改善の余地がある。この状態に甘んじるリスクは大きい。意思決定は、物事を成し遂げるうえでマネジャーが使える最も強力な手段だからだ。もう1つの手段である目標設定は、あくまで「目指すべきもの」だが、意思決定は実際に行動を起こさせる。
我々の研究から示されているのは、「人は通常、決めたことをその通りに実行する」ということだ。そして幸いにも、行動経済学に基づく手法やテクノロジーを用いて、常によりよい意思決定を下す方法がいくつかある。
我々が100人のマネジャーを対象として3ヵ月間行った調査では、意思決定のための優れた手法を用いて判断を下したマネジャーは、90%の割合で期待された成果を達成し、40%の割合で期待以上の成果を上げた(比較のために記すと、目標設定の優れた手法を利用した場合には、マネジャーが期待された成果を達成した割合はわずか30%であった)。
別の複数の研究によれば、効果的な意思決定手法を使うと、ビジネスで優れた決定を下せる数が6倍に増え、失敗率がほぼ半分に減ることが示されている(詳細は『決定力!』を参照)。
だが、意思決定向上の手法には多大な可能性が秘められているにもかかわらず、それらを利用している組織は少ない。我々が500人のマネジャーおよび幹部を対象に実施した調査では、決定の際に特定の手法を日常的に適用している人はたった2%。意思決定の質を測定し、時とともに向上させていくためのシステムを設けている企業はわずかであった。
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