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プーチン大統領が安倍首相を歓待した3つの理由

~孤立脱却、対中、そして経済~

2016年5月13日(金)

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5月6日、ロシアで2年ぶりに日ロ首脳会談が開かれた(代表撮影/ロイター/アフロ)

 プーチン大統領は大のスポーツ好きだ。自ら様々なスポーツに果敢に挑戦するし、スポーツが国民の愛国心をくすぐり、ひいては国民の支持を自身に集める手段として利 用できることも十分に心得ている。

 そのロシアで5月6日、2016年のアイスホッケー世界選手権チャンピオンシップが開幕した。今年は80回目の記念すべき大会で、アイスホッケーはロシア国民の間でとくに人気のスポーツだ。

 そんな注目度の高い国際大会の開幕式での演説は、国家指導者にとって格好の国民向けアピールとなるはずである。ところがモスクワで開かれた開幕式に、プーチン大統領の姿はなかった。この日、栄誉ある演説をしたのはナンバー2のメドベージェフ首相だった。

3時間超の首脳会談で見せた「日本重視」の姿勢

 大統領はどこにいたのか。一昨年の冬季五輪の開催地として世界的に有名となった、南部の保養地ソチである。

 日本の安倍晋三首相との首脳会談が主要な目的だった。同日夕刻から始まった日ロ首脳会談は少人数会合、通訳のみを交えた2人の会談、そして閣僚らも交えたワーキングディナーと続き、合計で3時間10分に及んだ。大統領は当初、日ロ首脳会談を短時間で切り上げ、首相が同意すれば一緒にモスクワに向かい、チャンピオンシップの開幕式に出席する案も検討したようだが、結局は断念した。それだけ安倍首相とのソチでの会合を重視したわけだ。

 「日本は単に我々の隣国だけでなくパートナーだ。とくにアジア太平洋地域における重要なパートナーである」――。大統領は会談の冒頭、日本を重視する姿勢を強調し、ソチを訪れた首相を歓待した。

 非公式会談にもかかわらず、ディナーまで用意してもてなした。3時間を超える会談時間は2013年4月、安倍首相がモスクワを公式訪問した時とほぼ同じだ。これらを踏まえれば、日本重視の姿勢は単なる外交辞令ではなく、大統領の本音とみてもいいだろう。

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「プーチン大統領が安倍首相を歓待した3つの理由」の著者

池田 元博

池田 元博(いけだ・もとひろ)

日本経済新聞社編集委員

1982年、日本経済新聞社に入社。90~93年にモスクワ特派員、97~2002年にモスクワ支局長。その後、ソウル支局長(05~08年)も歴任。08年から論説委員会に在籍。編集委員も兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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