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ブラジルのルセフ大統領停職=上院、弾劾裁判開始決定―スポーツ相も辞任、五輪に影響も

時事通信 5月12日(木)18時45分配信

 【ブラジリア時事】ブラジル上院(定数81)は12日、ルセフ大統領(68)に対する弾劾裁判の開始を賛成多数で決めた。

 ルセフ氏は最大180日間の停職となり、大統領府を去った。ブラジルの大統領が弾劾に問われ、停職となるのは1992年のコロル大統領(当時)以来。テメル副大統領が暫定政権を率いる。

 ルセフ氏は今後、最高裁長官をトップとする弾劾法廷で裁かれ、証人喚問などを経て上院の3分の2が賛成すれば罷免される。

 ルセフ氏は12日、弾劾裁判開始決定を受けた記者会見で「弾劾に問われる理由はない。任期満了の時まで闘い続ける」と述べ、改めて徹底抗戦の構えを示した。弾劾裁判は数カ月続く見通し。政治混乱を背景に不安定な社会情勢が続いており、暫定政権が難局打開に行き詰まれば、約3カ月後に迫ったリオデジャネイロ五輪に影響を及ぼす可能性もある。

 スポーツ相を含むルセフ政権の閣僚28人は辞任。テメル氏は12日、暫定内閣を発足させた。1930年代以降で最も深刻とされる不況からの脱却に最優先で取り組む。機能不全が続いた政治の安定と、ルセフ氏弾劾をめぐり対立を深めた国民の融和も大きな課題となる。

 2011年にブラジル初の女性大統領に就任したルセフ氏は、財政を健全に見せるため、補助金などの政府支出を国営銀行に肩代わりさせたとして弾劾に問われた。上院採決では賛成が55人と反対の22人を大きく上回り、大統領罷免に向け勢いが増している。 

最終更新:5月13日(金)3時30分

時事通信