文/大西連(NPO法人「もやい」理事長)
5月9日、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんをはじめとした子育て支援関係のNPOメンバーや、ジャーナリストの田原総一朗さんや津田大介さんなど著名人の呼びかけで、経済的に厳しい大学生などを対象とした給付型の奨学金の創設を目指すキャンペーンがスタートしました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160509/k10010513691000.html
・東京)給付型奨学金へ 「ネット署名を」:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/CMTW1605101300002.html
あわせて、ネットでの署名も行われています。
https://goo.gl/FqRlhP
このキャンペーンでは、財源を休眠預金口座の活用としています。それに関してはいろいろな意見があるかと思いますが、個人的には恒久的な予算を確保するという意味でも一般財源のなかに組み込んでもらいたいです。
とはいえ、給付型の奨学金の創設は、早急にするべき子どもの「貧困対策」であると考えます。
貧困家庭の子どもは大学に行きにくい
現在、子どもの貧困率は16.3%(2012年厚労省国民生活基礎調査)で、6人に1人が貧困状態にあると言われています。高校までは授業料の無償化などのさまざまな施策により何とか進学できたとしても、大学進学には大きなハードルが立ちはだかります。
以下のグラフは大学の授業料の推移をあらわしたものです(文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」より筆者作成)。
1975年は、国立大学の年間の授業料が3万6,000円であり、私立大学は18万2,672円でした。しかし、2013年には、国立が53万5,800円、私立が86万4,384円と、この間、急速に費用が高くなっています。
これは、端的に言えば、この40年間での公的な負担額が減少し、個々人、各家庭が大学進学に関して大きな負担を強いられている状況をあらわしています。学費が高いとなるとどうするのか。諦めるか、借りるか――この2択です。
次に奨学金の実態を見てみましょう。