カリフォルニア・グルーヴ・マシーンの異名をもちメタル界でも異彩を放ち続ける唯一無二の存在、デヴィルドライヴァーが『Trust No One(トラスト・ノーワン)』を5月11日に日本先行リリースする。メタル界きっての仕事人間であるフロントマンのデズ・ファファーラにインタビューを行った。
◆デヴィルドライヴァー画像
――いよいよ新作『Trust No One』がリリースとなりますね。
デズ:あぁ、リリース準備も整ったし全てが順調だよ。
――2011年のアルバム『BEAST』から最新作まで全ての作品のプロデュースをMark Lewisが担当していますが、彼はCoal Chamberの新作も手掛けています。Coal Chamberの作品との違いを明確にするために気を付けたことなどあるんでしょうか?
デズ:俺達は毎回違う作品を作り出せるプロデューサーと仕事がしたい、Markはまさにそういう男なのさ。これまで彼が関わってきた作品は何一つ似たようなものがない。だから彼がいる限りCoal Chamberとデヴィルドライヴァーが同じサウンドになることなんてあり得ないんだ。俺のヴォーカルに関しても、それぞれのバンドのスタイルに合わせた歌い方をするように強く要求してきたよ。
――アルバム制作後に新ベーシスト、元Static-XのDiego "Ashes" Ibarra(ディエゴ“アッシズ”イバーラ)を迎えていますね。
デズ:あぁ、その通り。アッシズのことは2~3年前から知っているんだ。ヤツは酒もドラッグもやらないし、音楽に対する姿勢も完璧にデヴィルドライヴァーにフィットしているね。
――新ギタリストのニールも制作に関わっているんでしょうか。
デズ:もちろん。リリース前に公開した「デイブレイク」はニールが中心となって書いた曲で、俺のお気に入りの曲でもあるんだ。攻撃的でバンドの威厳も感じるし、ヴォーカルの仕上がりにも満足している。アルバムには他にも好きな曲がたくさんあるよ。今までの俺なら、作品を完成させたらそこから距離を置いてもう聴くことはなかった。でも、今作は毎日聴いている。こんなこと一度もなかったんだ!いつかこの作品の完全再現ライヴをやってみたいって考えているくらいハマっているよ。ニールのギターはまさに俺が求めていたスタイルなんだ。俺がメンバーのマイク・スプリッツァーの家に行ったとき、チューインガムをクッチャクッチャ噛みながら難易度の高い「Dead to Rights」(アルバム『Beast』に収録)を弾き倒していたのがニールだった。その姿をみて「コイツだ!」っておもったね。マイクのソロパートまで奪って完璧に弾いていたんだぜ(笑)。最高だろ(笑)?
――あなたはヴォーカルの一発録りにこだわっていると耳にしたのですが、本当でしょうか?
デズ:あぁ、デヴィルドライヴァーはきっちりしたデモは作らない。メンバー同士でやりとりしながら曲の仕上げに入っても、俺のヴォーカルはスマートフォンに録音する程度に留めておく。きちんとしたデモを作ってしまうと、その段階で何か大事なものを失っている気がするんだよ。ファースト・テイクの録音にはフィーリングが一番詰まっているからね。そこを大切にしたくて最近の作品は一発録りにこだわっているよ。
――今作も同じスタイルですか?
デズ:そうだね。今作もほとんどの曲でファースト・テイクがそのままアルバムに収められている。ライヴと同じ感覚で臨んでいるんだ。本来、レコーディングはこうあるべきなんじゃないかって俺は思っているからさ。
――デヴィルドライヴァーの作品を全て一言で表現してもらえませんか?
デズ:『DevildDriver』(2003)=“Hopeful”。俺達が当時やろうとしていたことは、過去のメタルシーンにはない個性的なものを追求することだった。そのサウンドに対してメタルファンがどういう反応をしてくれるかって期待感をもっていたんだ。
『The Fury of Our Maker's Hand』(2005)=“Driven”。この頃も自分たちの音楽を追求していた。この作品のおかげで、他のスタイルをコピーしているようなバンドたちとはかけ離れたところまでいけたと思っているよ。
『The Last Kind Words』(2007)=“Uncompromising”。この作品をレーベルは“ヘヴィ過ぎる”って判断してヴォーカル・パートの変更を要求してきた。もちろん俺は中指立てて譲歩しなかった、絶対に変更なんてしないってね(笑)。面白いことに今じゃこの作品がファンたちの一番のお気に入りになっているんだぜ。この頃、同じレーベルのニッケルバックやスリップノットがラジオでオンエアーされたことで成功を掴んでいたからだとおもうんだけど、俺達は“ラジオ・フレンドリー”なバンドになるつもりはなかったってことさ。
『Pray for Villains』(2009)=“Unique”。この作品はすごく独特だね。スロウでグルーヴィー、巨大なサウンドとフックも満載で俺達のアルバムの中でも異彩を放っている。俺達はこのとき、より大胆に変化を求めようとしていた。それを成し遂げたこのアルバムが俺は大好きだ。
『Beast』(2011)=“Monster”。一切の妥協がなく、攻撃的で怒りに満ちている。この時はドラマーとソリが合わなかったし、当時のギタリストのマイクとジェフともうまくいってなかった。ケンカばっかりしていたんだ。完成させるのが本当に大変だったよ。
『Winter Kills』(2013)=“Breakthrough”。そのまんま“躍進”だね。このアルバムは全米アルバムチャートでTOP40圏内に入った作品なんだ。こんな快挙はポップ・ミュージックでもなけりゃ、ほぼあり得ない話だからね。人々が俺達の存在にようやく気づき始めたってことでもあるのかもね。
『Trust No One』(2016)=“Devastating”。この作品も他のバンドの作品と比較しようにもできない内容なんだ。デヴィルドライヴァーにしか作れない音、そこを俺は最も重要視しているんだ。
――普段はどんな音楽を聴いているんですか?
デズ:何でも聴くね。俺はサイコビリーからパンクロック、ブルース、ジャズ、ハワイアンスライドギター、ブラックメタル、50年代、60年代、80年代の音楽だって聴く。音楽は生活の一部なんだ。メイク・ラヴするときも、ジムでトレーニングするときも、クルマの中でも、ライヴの直前だって音楽を聴く。俺にとっての音楽は生活そのものなんだ。
――いま世界を席巻しているBABYMETALはご存じですか?
デズ:もちろん存在は知っているよ。あるフェスティヴァルの楽屋が近かったこともあるんだ。残念ながらライヴは観たことないんだけどね。
――この秋に東京ドームでライヴを行うんですよ。
デズ:なんだって?是非、俺達をそのライヴに呼んでくれって伝えてくれよ!喜んでプレイしに行くぜ、ハハハハハ!彼女たちの音楽はまだちゃんと聴いたことないけど、クルーたちはナイスな人たちだったよ。
――日本のファンは再来日を期待しています。
デズ:ありがとう!小さい頃に観ていたTVドラマ『将軍』も大好きだったし、日本の興味深い文化についても知りたいと思っている。ライヴ以外にも日本を訪れたい理由は俺にはたくさんあるんだ。フェスティヴァルの出演でもいいから来日を実現させたいね。
取材・文:澤田修
Photo by Ben Hoffmann
【メンバー】
デズ・ファファーラ(ヴォーカル)
マイク・スプリッツァー(ギター)
ニール・ティーマン(ギター)
オースティン・ダモンド(ドラムス)
ディエゴ・イバーラ(ベース)
デヴィルドライヴァー『トラスト・ノー・ワン』
【通販限定CD+Tシャツ】¥5,000+税
【CD】 ¥2,400+税
1.テスティモニー・オブ・トゥルース
2.バッド・ディーズ
3.マイ・ナイト・スカイ
4.ディス・ディセプション
5.アバーヴ・イット・オール
6.デイブレイク
7.トラスト・ノー・ワン
8.フィーリング・アンゴッドリー
9.リトリビューション
10.フォー・ホワット・イッツ・ワース
《ボーナストラック》
11.ハウス・ディヴァイデッド
12.イーヴル・オン・スウィフト・ウィングス
◆デヴィルドライヴァー『トラスト・ノー・ワン』オフィシャルページ