いろいろまとめて気になった点をいくつか。

  • 反省文に「カメラロールは積極的に容量が増えていくのに」と書いているが、これは発端となった社長によるエントリの「カメラロールと承認欲求が満たされたんだろうな、と思った」という表現に一致しすぎていておかしい。同一人物が執筆したと考えるほうが自然
  • 「残りの一ヶ月には自分の名刺も作っていただき」とあるが、即戦力として期待されていたのにそれまで名刺がなかったというのは矛盾している。いまは総務経由で発注する大手企業でも2,3日で名刺ができてくる。活版印刷でもしているのだろうか
  • 「会議は毎週出席していました。参加は3週に一回程度でした」という二文は前者・後者が矛盾する。「参加」を社長が「発言すること」と定義しているなら別だが、それならなおさら社長でない人物がその定義を前提に反省文を書いているのがおかしい
  • 「議事録取るだけで評価されてしまう様な世の中なのでしょうか」というが、議事録を書くのは社会人スキルを必要とする高度な仕事だ。むしろ、こういうことを新人にまかせることで新人は成長し、古株は本来の業務に集中できる
  • (撮影時は)「荷物番です。なぜその時に記事の1つでも書かなかったのだろう」という点。撮影なめんな! いったん撮影に出たらカメラマンへの指示も、撮影データの確認も、原稿で求められているスチルへの配慮も、モデルへの声かけ・モチベーション維持も、すべて編集やライターの仕事だ。片手間に記事を書けるような仕事じゃないし、片手間に記事書いてるようなら現場に来るなというのが正しい
  • 「ミーハー心しかないんだなと知りました」というセンテンス…えー、いまのハイティーンから20代前半の子が「ミーハー」なんて使うか? これも社長エントリと同一人物による記述をにおわせる箇所
  • 「東京で2ヶ月間住むことを決めた」?? 地方から出てきてインターンしたの?? おい、そりゃ月17万(だと別のエントリから推定)でも安いよ! 源泉徴収だけ考えて手取り15万かな。ウィークリーマンションとか使っても可処分所得9万。通勤・通信費引いたら6万くらいだよね。5時間も会議やるようなバカな会社に勤めてたら食費も膨れ上がる。なんにもできないぞ
  • 「鼻が伸びっぱなしの人生」ってなんだ。「鼻の下が伸びっぱなし」ならスケベってことだし、そうじゃないなら「天狗のままの人生」のほうがわかりやすい
  • 「MTRLに所属するという不純な動機」というのがそもそもわからないんだよなー…。MTRLってほとんど聞いたことないんだもの。fashionsnap.com なら編集スタッフも知ってるしそれなりに尊敬してるけど
  • 社長の説明では「会議に5時間出席」させたということだが、正直言って今どきブレインストーミングでも5時間の会議をおこなう企業には生産性もクリエイティビティも期待できない。たしかに博報堂系などで深夜までたばこをふかしながら長時間会議をする文化の会社もあるけれど、こういうところはExcelの発注書を右から左に回しているだけで制作実務はまずできない。こんな会社が「少数精鋭」でWebメディアを運営しているとは信じられない

で、細かいことはおいといて、だ。

インターンシップって、アメリカではかなり問題になってるよね。企業が採用手段と人手不足を補う手軽な方法として濫用しつつ、学生には過重無償労働が押し付けられる制度として。

日本でもその問題点は指摘されていて、実際には雇用に準ずる関係にあるのに「インターンだから」でいいように学生を酷使する現場が出てきている。つまり「名ばかりインターン」だ。正直、マネしちゃいけない悪いところをぼくらの社会はマネしちゃってるな、と思う。

今回の件も、インターンシップに対して「心理的に」過重な労働を押し付けた名ばかりインターンだと思う。

仮にアルバイトでおなじ年齢の子を採用したら、こんな投げっぱなしジャーマンな扱いしないよね。教育も、ケアもきちんとするはず。「インターンなんだからケアは不要だろ」という姿勢はキープしつつ結果だけ社員並みに求める。

まあ、あきらかにバカげているよね。実際には誰もしあわせにならない。学生は何も成長しないし経済的に損をする。企業側も最低でもアルバイト以上の潜在力があった人材を失うし、イヤな思いをしたインターン生を「自社のファン」ではなくしてしまう。

※「自社のファン」というのは…。本来的には、企業が採用活動をおこなううえでは「採用に至った人もご縁のなかった人も自社のファンになってもらう」よう心がけるべきだという考えを踏まえた表現ね

でも、そういうことをきちんと考えないでインターンシップに臨む企業経営者は、今回のような失態を演ずることになってしまうんだよね。

解決方法はというと、「なに煽ってんだ」と言われそうだが、

こういうケースをきちんと拾い上げ、批判し、
多くの人に知ってもらう

ことだと思う。インターンシップってなんなのか、理想とされる社会的位置づけはなんなのか、考える人をひとりでも増やす。それしかないよね。

採用難が進んで、これ以上「名ばかりインターン」が増えないことを祈るよ。