「パナマ文書」、中国関係者が3万人超と突出
【ワシントン=山本貴徳、北京=鎌田秀男】「パナマ文書」を分析している国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ、本部・米ワシントン)が9日午後(日本時間10日未明)に公表したデータベースで、タックスヘイブン(租税回避地)に設立された約21万4000に上る法人などと、関連する個人名が明らかになった。
「日本」関連として分類されているのは約400件で、日本人とみられる個人名は約230人(重複と思われる名前を除く)、法人は約20社(同)。国・地域別では、中国や香港の関係者が突出している。
パナマ文書は4月3日に存在が公表され、世界の首脳らによるタックスヘイブンの利用実態を暴露。すでに仏当局が仏銀行、スイスの警察当局は欧州サッカー連盟の捜索に入った。麻生財務相は10日の閣議後記者会見で「問題がある取引があれば税務調査を行う」と述べている。今回、公表された詳細な情報を端緒に、日本を含めた各国の当局による追及が進む可能性がある。
ICIJは21の国や地域のタックスヘイブンに設立された法人などを、個人名や国ごとにキーワードで検索できるようデータベース化した。2013年の公表分と合わせると総計約32万件に上る。これを基に「中国」のキーワードで検索すると、「関係者」は3万3290人と最も多かった。「香港」が2万5982人と続き、「中国・香港」の関係者の数が際立つ。
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おことわり 「パナマ文書」の一部が10日、インターネット上で公表され、日本の企業や一般個人の名前が記載されていますが、読売新聞は現時点では匿名で報道します(自ら公表した分を除く)。
各国で税制は異なり、日本の企業や一般個人がタックスヘイブンを利用していても、国内で適正に納税していれば、税法上、問題視することはできません。ただ、タックスヘイブンを悪用した租税回避は国際的に問題化しており、今後の取材によって、悪質な課税逃れや、脱税などの違法行為が判明した場合は実名で報じます。