熊本地震で大きな被害を受けた益城町で、犠牲となった20人は布田川・日奈久断層帯付近と、町内を流れる秋津・木山川沿いに集中していることが11日、熊本日日新聞の取材で明らかになった。専門家は、地盤がもろい河川域と断層帯がほぼ重なることで被害が拡大した可能性が高いとみている。
また、4月16日未明の本震で死亡した12人のうち、少なくとも6人は前震後に避難しながら自宅に戻り、被災したケースだった。避難の在り方を含め、今後の防災対策の課題となりそうだ。
熊本地震では、日奈久断層帯に起因するマグニチュード(M)6・5の前震と、布田川断層帯に起因するM7・3という阪神大震災クラスの本震が連続して発生。二つの断層が複雑に絡み合う益城町は県内で唯一、震度7に2度見舞われた。
熊本大大学院自然科学研究科の渋谷秀敏教授(地球磁場)によると、活断層上に被害が集中した理由として▽地中で断層がずれる時に生じる地表の変動が大きかった▽揺れの激しい震央に近かった-ことなどが影響していると考えられる。
加えて、被害が大きかったのは、地盤が軟らかいとされる平地。同教授は「山地から続く軟らかい平地部分は、海の波が渚に向かって大きくなるように、地震のエネルギーが集まりやすい」という。
もう一つの理由として挙げられるのが地盤の弱さ。同町では二つの断層とほぼ並行して秋津川と木山川が流れる。現地入りして調査を続ける福岡大工学部の古賀一八教授(建築防災)によると、家屋倒壊は九州自動車道より東側、県道熊本高森線の南側で激しい。一帯は旧河川や扇状地の砂地を埋め立てた、地盤の弱い地域を宅地化しており、液状化現象も発生している。
16日未明の本震では、木造家屋がダメージを受けやすい周期を持った地震波が観測されている。古賀教授は「2度の大きな揺れ、地盤の弱さ、地震波の周期、揺れの方向など悪条件が重なり、被害を大きくしたのではないか」と話す。
熊本地震では、県全体の犠牲者49人のうち、8割近い37人が家屋倒壊で死亡した。熊本大減災型社会システム実践教育研究センター長の松田泰治教授は「現地をみると、古い家だけでなく、新しい耐震基準で建てられた家も被害に遭っている。活断層に基づく地震対策や意識啓発が今後の課題になる」と指摘する。(浪床敬子)
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