大学最初の授業

 連載「ジョン・ネイピア物語~対数logはlogos(神の言葉)」で、

 「感覚量は刺激量の対数に比例する」というウェバー・フェヒナーの法則紹介し、“鈍感に感じる”を数学の言葉で表したのが対数であることを説明しました。

 さて、今回は時間の感じ方をとりあげます。

 今年になって、テーマ「人生の半分を迎える年齢は何歳?」をすでに3度発表しました。玉川髙島屋で第3日曜日に開催している「大人のための数学カフェ」、日大芸術学部における最初の授業、そして数学イベント「ロマンティック数学ナイト」(和から株式会社主催)です。

 特に、日芸の最初の授業は新入生にとっては大学最初の授業でもあるので、今年、私はこのテーマを選びました。

 人生はまだまだこれから長くつづくと信じて疑わない19歳に、私は問いかけます。100歳まで生きる人生の半分を迎えるのは何歳だろう、と。

 そうして、最初の授業はガイダンスもそこそこに、授業が展開していきます。はたして、20歳を大学で迎える大学生は、最初の授業で衝撃の計算結果を知らされることになります。

ジャネの法則

 私たちは小学生の時より大人の時の方が、1年間を短くなったと感じます。小学生の時の1年間は今よりも長かったと思い出すことができます。

 小学校の1年生から4年生までの4年間と、19歳から23歳までの4年間は同じ長さに感じません。青年の4年間はあっという間です。まさに「光陰矢のごとし」の意味を、私たちは年を経るごとに実感していきます。

 フランスの哲学者ポール・アレクサンドル・ルネ・ジャネ(1823-1899)は、この人間の時間の感じ方を考察しました。そして、次のように結論づけました。

 人間にとって現在という時間の感じ方は、これまで生きてきた時間との比として感じている。

 例えば、10歳の少年の1年間は、それまで生きてきた10年に対しての1年つまり10分の1と感じているということで、60歳の大人の1年間は、それまで生きてきた60年に対しての1年つまり60分の1と感じているということです。

 60歳の大人の1年は10歳の時の1年の6分の1に短くなったと感じているということです。