桑田氏「人生には代打もリリーフもない。自分でやるしかない。逆転満塁ホームランを」
◆球界激震 清原和博容疑者覚醒剤取締法違反(所持)容疑で逮捕(4日)
PL学園時代、清原容疑者と「KKコンビ」と称され活躍した桑田真澄氏(47)=スポーツ報知評論家=が4日、巨人の宮崎キャンプを訪問し、清原容疑者が逮捕された事件について報道陣に対応。「人生の逆転満塁ホームランを打ってもらいたい」などと話し、かつての盟友の更生を願った。
沈痛な面持ちで絞り出す言葉の端々から、絆の強さが感じられた。桑田氏は清原容疑者に「もう、一切関わらないでくれ」と言われ、2年半ほど前から連絡を取っていなかったことを改めて告白した。それまで、同容疑者に関する悪いうわさを耳にするたびに連絡を入れ、「気をつけないと駄目」と注意を繰り返していた。「小姑(こじゅうと)のように言っていたので、小言に嫌気がさしたのでしょう。もうちょっと、僕が言い続けていた方がよかったのかな」と自らを責めた。
2人で夢見た第二の人生の存在も明かした。08年、ともに現役を引退した直後には「僕たちは野球にたくさんの幸せをいただいた。これからは恩返ししていかないといけないね」と話し合っていたという。プロ野球はもちろん、2人をスターに育て上げてくれた高校野球への恩返しだ。桑田氏は「2人で力を合わせて、貢献できたらいいなと思ってました」と遠くを見つめた。
桑田氏によると、野球には3つの側面がある。「プレーする野球」と「支える野球」「見る野球」だ。かつては「『支える野球』のステージでも、4番であり、エースになれるように、しっかり野球界を支えていこう」と誓い合った。今回の逮捕を受け、桑田氏は「いつまでも『プレーする野球』の4番バッターだった自分を忘れられず、うまく移行できなかったんじゃないかな…」と声を落とした。
それでも、桑田氏は見捨ててはいない。「野球と違って、人生には代打もリリーフもない。自分でやるしかない。現役時代、数々のホームランを打ってきた男ですから、自分の人生でも、きれいな放物線を描く逆転満塁ホームランを打ってもらいたい。それが今の一番の思いですね」。かつての仲間が、あの夏に流した純粋な汗と涙を取り戻す日が、きっとやって来る。そう信じている。(片岡 泰彦)