東芝は11日、米テキサス州で進めている原子力発電所の建設計画で、パートナーとしていた現地大手エンジニアリング会社、CB&Iとの協力関係を解消すると発表した。両社で契約解除をすることで合意した。CB&Iはかねて新規の原発建設事業からの撤退を表明していた。東芝は新たなパートナーを探すが、同計画ではすでに約720億円を減損処理している。計画実現はなお不透明だ。
「サウス・テキサス・プロジェクト(STP)」と呼ぶ計画で、3、4号機の建設を東芝が受注。同社が本体で手掛ける改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)2基を建設する予定だ。当初は最速で2016年度中に稼働開始の予定だったのが、日本の原発事故や投資環境の悪化で計画が遅れており、14年3月期と15年3月期で減損処理に踏み切っている。
CB&Iは同計画から撤退し融資を打ち切るほか、STPなどに対して持つ債権を放棄する。東芝は「投資環境が改善され、別のエンジニアリング会社の参入も可能になる」と話す。ただ新たなパートナー探しは不透明で、新規の投資も見込みにくい。
現地の電力価格が低迷していることから、東芝は「価格動向などを見て建設時期を決める」としている。東芝はこれ以外に、ジョージア州やサウスカロライナ州で原子力子会社のウエスチングハウスが加圧水型軽水炉の建設を進めている。
東芝はCB&Iとは火力発電事業を中心に「協力関係を維持する」としている。