警備最大手のセコムは11日の取締役会で前田修司会長(63)と伊藤博社長(64)を解職したと発表した。2人は同日中に取締役も辞任した。セコムは前田・伊藤体制で社内の風通しが悪くなりコーポレートガバナンス(企業統治)上の問題が起きかねなかったとしている。同日発表した2016年3月期の連結決算では純利益が4期連続で最高となった。好業績が続く中、突然の退場劇となった。
後任の社長には中山泰男常務(63)が昇格した。会長は空席となる。創業者で取締役最高顧問の飯田亮氏(83)は留任する。
新社長の中山氏は日銀出身で07年にセコムに入社した。11日に都内で開いた記者会見には中山氏だけが出席し、「前田氏のリーダーシップで業績を伸ばしてきたが、長期在任の副作用で自由に議論する気風が失われたという声が出ていた」と語った。同社の指名報酬委員会が前田氏に退任を打診していたという。