米大統領27日に広島訪問 オバマ氏長崎に言及へ 被爆者面会は未定

 【ワシントン山崎健】アーネスト米大統領報道官は10日の記者会見で、オバマ大統領が主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて27日に広島を訪問することは、核廃絶に向けた「未来を志向したものだ」と述べ、原爆投下に対する謝罪ではないということを強調した。被爆者との面会については「日程が固まっておらず、機会があるかは分からない」と答えた。

 アーネスト氏によると、オバマ氏は原爆ドームがある平和記念公園を訪れ、核廃絶に向けた考えや、戦後70年を経て変貌を遂げた日米関係についての所見を、短く、簡潔に表明する。

 アーネスト氏は広島訪問の意義を「『核兵器なき世界』の実現へ前向きなメッセージを発信することだ」と説明。「米国は世界で唯一、核兵器を使用した国であり、特別な責任がある」と述べた。広島訪問が原爆投下への謝罪と受け止められる可能性については「そのように解釈するのであれば、それは誤った解釈だ」と語り、謝罪を意図した訪問ではないと強調した。

 アーネスト氏によると、これまでオバマ氏が日本を訪れる度に広島訪問の是非について政権内で議論していたという。その上で、ケネディ駐日大使やケリー国務長官の広島訪問の成果などを踏まえ、オバマ氏が任期中に日本を訪れる最後の機会となる今回が「最適な時期」だと判断したとの見解を示した。

 一方、1945年当時のトルーマン大統領による原爆投下の決断の是非についてアーネスト氏は「(トルーマン氏は)原爆投下によって(日米)両国民の命が救われると信じていた」と指摘。「決断が正しかったのかどうかについては歴史家や米国民が考えるのが公正であって、そのことはオバマ大統領が広島訪問した際にすることではない」と直接的な言及を避けた。

=2016/05/12付 西日本新聞朝刊=

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