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軽い勘定系システムは誕生するか、「だから素人は困る。絶対に無理」の誤り

2016/05/12
木村 岳史=日経コンピュータ (筆者執筆記事一覧
出典:日経コンピュータ 2016年4月28日号p.16
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 放送系の技術者に「これだから素人は困る。それは絶対に無理」と露骨に軽蔑されたことがある。私が「将来はインターネットでも動画が配信できるようになりますね」と語りかけた時のことだ。もちろん、今の話ではない。もう20年ぐらい前のことだ。

 この人は、光ファイバーによる動画配信を研究・開発していた優秀な技術者だった。この後、「動画のサイズがどれくらい大きいか知っているのか。それにIP網のようなオーバーヘッドの大きいネットワークでの伝送は非効率で、実用にはならない」とこんこんと説教されることになった。

 当時はインターネットが急速に普及し、EC(電子商取引)など様々な可能性が喧伝されていたが、まだ“夢物語”。ベースの技術が未成熟で、専門家には噴飯モノだったようだ。動画配信にしても、動画のデジタル化や伝送手法の開発に長く取り組んできた専門家からすると、「なぜ非効率なIP網を使うのか」「ネットの伝送容量からして土台無理」と映った。

 ご存知の通り、結果は違った。断っておくが、私が正しかったと誇るつもりはない。素人として夢物語を口にしただけだ。一方、この人だけでなく大勢の技術者が、ネットによるテレビ品質の動画配信は非現実と考えていた。

 突拍子も無く聞こえるかもしれないが、イノベーションはこうして起こるのだと思う。素人が「できたらいいよね」と思い、専門家が「絶対に無理」と言う領域に、イノベーションの種が潜んでいる。そう言えば、米国ではネットフリックスなど動画配信サービスの普及で、「コードカッター」と呼ばれる、CATVの契約を打ち切る人たちが急増しているそうだ。

ニーズあれば技術的課題は超える

 今、IoT(Internet of Things)やAI (人工知能)などで様々な夢物語が喧伝されている。当然、動画配信と同じことが起こる可能性があるわけだが、その中でも最も難易度が高そうな取り組みついて、“素人考え”を述べてみよう。ブロックチェーン技術を使った銀行の新たな勘定系システム、“軽い”決済網の構築の可能性である。

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