偉人や有名人の言葉に
「感銘を受けた、生き方が変わった」
というひとをたまに見かける。
実に辟易とするし、安っぽい。
別に偉人は、アナタに向けてその言葉を言ったわけじゃあない。
何を勝手に解釈してるのか。
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たとえば意識の高い人たちが好む名言に「失敗を恐れるな」「批判に耳を貸すな」系のものがある。
特にジョブズの言葉が大好き。
かの落合博満はこんなことを言っている。
最も厄介なのは、言葉は悪いが、感覚や時の勢いだけで物事に取り組む人だ。
そんな勢いは決して長続きしないことを覚えていてほしい。
偉人の言葉に感銘を受けただの、何をやりたいかわからないがTEDxの動画に感銘を受け漠然と会社を辞めて目標も才能もなくフリーランスになるだのいう感覚や勢いだけで物事を決めてしまうひとに聞かせてあげたい名言。
しかしそういうひとらにこの言葉は響かない。
名言とは、言葉の重さではない。
結局のところ名言に感動しただの感銘を受けただのというのは
「感銘を受けたい言葉を選んで感銘を受けている」
だけでしかない。
言葉が素晴らしいのではない。
自分が素晴らしいと思いたいから、その言葉を選んでいる。
自分のやりたいことに都合がいいから使っているだけ。
どんな素晴らしい言葉でも自分に都合が悪ければ無視する。
過去の名言をツイートし、あるいは名言をブログなどの記事にして解説し、それで悦に入る薄っぺらい光景を見かけるが、別に名言を紹介するヤツは偉いわけでも何でもない。
名言なんてどこにでも転がっている。
それを拾ってくればいい。
安っぽいどこかで見かけたような、自己啓発書に書いてあるようなことを書き直しただけのツイートでフォロワーを集めたり、あるいはパクツイをRTしたり。
サザエbotやcopy_writingのようなペラペラの輩をフォローするような人々は、耳心地がいいだけの薄っぺらい言葉を消費したいだけにすぎない。
ワカメ?大事なのは100回の「やろう」ではなく、1回の行動よ。
— サザエBot / SAZAE Bot (@sazae_f) 2016年5月11日
うわぁ……。
「虎を画きて成らず、反りて狗に類す」(素養や力量のない人間が偉人の真似をすればかえって無様な結果になる。馬援)というけれど、偉人の言葉に感銘を受けたと騒ぐ輩にろくな輩がいないのは気のせいだろうか。
名言好きでポジティブシンキングが好き。
大胆に生きろとか、振り返るなとか、ただただ前に進んでいればそれが正しいとでも思っている。
まぁ、好きなだけ崖に向けてノーブレーキで突っ込んでいけばいい。
名言はなにも救ってくれない。
若さだけで突き進み、気づけば年を取り、そこには何の取り柄も職歴もない単なる小銭稼ぎで生きるポジティブシンキングを叫ぶ中年が残る。
ただ一つ言えるのは、他人が慎重さを欠いているときほど、自分たちは慎重に事を運ばなければならない
とウォーレン・バフォットは言ったそうだが、どこにも慎重さのないブログでマネタイズなフリーランスの方々を横目に自分は慎重にならなければならないよなぁ、とウォーレン・バフォットの名言を選んで消化する。この名言の方が都合がいい。
名言は無数にあり、誰かに都合のいい誰かの言葉は存在してる。
この記事も都合のいい言葉だけを選んで書いている。
それでは皆さんにこの言葉を送りましょう。
いいことを照れもせずにいう奴は、みんな疑ったほうがいいぞ
遺書/吉本隆明
おあとがよろしいようで。