2016年05月10日

海外版ホットリスト - ボールドルーラー系

「海外版ホットリスト」第七弾はボールドルーラー系。ボールドネシアンからシアトルスルー、エーピーインディと継承されたライン以外にも多くのラインが生き残っていますが、今回はその中でも主だったラインを抽出して紹介していきます。とはいえ基本的にエーピーインディ系以外のラインは衰退の一途をたどっており、スペクタキュラービッドやセクレタリアトといった歴史的名馬の系統も例外ではありません。唯一イエスイッツトゥルーを出したラジャババ系に父系存続の可能性があるくらいでしょうか。
ボールドルーラー − ボールドビダー系

<ボールドビダー系> ★☆☆☆☆ (危険)

Bold Ruler (USA) 1954
 Bold Bidder (USA) 1962
  Cannonade (USA) 1971
   Litigator (USA) 1978 CHI
     (3着) ・サンタカタリナS(USA-II)
    Tempranero (CHI) 1984 ARG
      ・アルベルト・ヴィアル・インファンテ賞(CHI-I)
     Eyeofthetiger (ARG) 2004 URU/BRZ/2010-
      ・ナシオナル大賞(ARG-I) ・金杯大賞(ARG-I) GI計3勝
  Spectacular Bid (USA) 1976 USA/1981-2003
    ・ケンタッキーダービー(USA-I) ・プリークネスS(USA-I) GI計13勝
   Spectacular Love (USA) 1982 NZ/1987-2004
     ・ベルモントフューチュリティ(USA-I)
    Western Red (NZ) 1990 NZ
     ・ワイカトスプリント(NZ-I)
   Spectacular Prince (USA) 1990 MEX
     (3着) ・メキシコ金杯(MEX-I)
    Danzig Prince Race (MEX) 2000 MEX
     ・ナシオナル大賞(MEX-I) ・サラブレッド大賞(MEX-I)

GI13勝の歴史的名馬 Spectacular Bid を出した系統だが、同馬は種牡馬として完全な大失敗に終わった。当初15万ドルで供用された種付け料も晩年には数千ドルにまで下がっていたという。種付けされた牝馬が多かったため、今なお名も知れぬマイナー種牡馬は複数いるが、父系の存続はまず不可能だろう。南米で繋がっていた Cannonade の系統も、これ以上発展する見込みは薄い。


ボールドルーラー − ボールドラッド系

<ボールドラッド系> ★☆☆☆☆ (危険)

Bold Ruler (USA) 1954
 Bold Lad (IRE) 1964
  Persian Bold (IRE) 1975 IRE/1979-1999
    ・リッチモンドS(GB-II) ・ホーリスヒルS(GB-III)
   Anshan (GB) 1987 GB/IRE/1992-2005
     ・サンベルナルディーノH(USA-II) ・シュプリームS(GB-III)
    Dark Moondancer (GB) 1995 FR/2003-
     ・ガネー賞(FR-I) ・ミラノ大賞(ITY-I)
  Cyrano de Bergerac (IRE) 1983 IRE/1988-2006
    (2着) ・コーク&オラリーS(GB-III)
   Millkom (GB) 1991 IRE/1998-2013
     ・ジャンプラ賞(FR-I) ・パリ大賞(FR-I) ・マンノウォーS(USA-I)
    Milk It Mick (GB) 2001 GB/2007-
      ・デューハーストS(GB-I) ・フランクE.キルローマイルH(USA-I)
     Miracle of Medinah (GB) 2011
      ・サマーヴィルタタソールS(GB-III)

Bold Lad は英2歳GIミドルパークSの勝ち馬で、代々2歳戦や短距離路線で結果を残してきた父系だが、代を経るにしたがってスピードを失っていった。Perisan Bold の系統の最後の活躍馬は最優秀ステイヤーに2度輝いた Persian Punch である。晩年の産駒で重賞未勝利だった Cyrano de Bergerac からGI3勝の Millkom が出て、さらにGI2勝の Milk It Mick まで奇跡的にラインが繋がったが、もはやこれまでであろう。


ボールドルーラー − ホワットアプレジャー系

<ホワットアプレジャー系> ★☆☆☆☆ (危険)

Bold Ruler (USA) 1954
 What a Pleasure (USA) 1965
  Foolish Pleasure (USA) 1972
   Maudlin (USA) 1978 USA/1984-1998
     ・ボールドルーラーS(USA-III) ・フォアゴーH(USA-III)
    Mecke (USA) 1992 USA/1997-2012
      ・アーリントンミリオン(USA-I) GI計3勝
     Supah Blitz (USA) 2000 USA/2010-
      ・デルマーBCH(USA-III) ・トーキョーシティH(USA-III) 重賞計3勝
   Marfa (USA) 1980 USA/1985-2001
     ・サンタアニタダービー(USA-I)
    Farma Way (ISA 1987 USA/1992-1999
      ・サンタアニタH(USA-I) ・ピムリコスペシャルH(USA-I)
     Cobra King (USA) 1993 USA/1997-
       ・バルボアS(USA-III) ・ハリウッドプレヴューBCS(USA-III)
      Lunar Sovereign (USA) 1999
       ・マンノウォーS(USA-I)

ホープフルSの What a Pleasure 、ケンタッキーダービーの Foolish Pleasure 、サンタアニタダービーの Marfa 、サンタアニタHなどGI2勝の Farma Way と来たところまでは良かったが、その先が繋がらなかった。Cobra King 産駒の Lunar Sovereign は米GIマンノウォーSの勝ち馬だが、晩年は英国の障害戦を使われ、種牡馬入りしなかった模様。アーリントンミリオンなどGIを3勝した Mecke のラインも厳しそう。


ボールドルーラー − ラジャババ系

<ラジャババ系> ★★☆☆☆ (警告)

Bold Ruler (USA) 1954
 Raja Baba (USA) 1968
  Well Decorated (USA) 1978 USA/1982-2004
    ・アーリントンワシントンフューチュリティ(USA-I)
   Notebook (USA) 1985 USA/1990-2003
     ・ケンタッキージョッキークラブS(USA-II) ・ベストターンS(USA-III)
    Delaware Township (USA) 1996 USA/2002-
     ・フランクJ.ドフランシス記念ダッシュS(USA-I) GI計2勝
   Formal Dinner (USA) 1988 USA/1993-2014
     ・サンフォードS(USA-III) ・アケダクトH(USA-III)
    Universal Form (USA) 2001 USA/2013-
     ・デピュティミニスターH(USA-III)
  Is It True (USA) 1986 USA/1990-2007
    ・BCジュヴェナイル(USA-I)
   Yes It's True (USA) 1996 USA/2001-2015
     ・フランクJ.ドフランシス記念ダッシュS(USA-I)
    Yesbyjimminy (USA) 2004 USA/VEN/2010-
     ・ケニーノージュニアH(USA-III)
    Aikenite (USA) 2007 USA/2013-
     ・チャーチルダウンズS(USA-II) ・コモンウェルズS(USA-II)
    The Big Beast (USA) 2011 USA/2016-
     ・キングズビショップS(USA-I)
   Black Seventeen (USA) 2004 USA/2011-
    ・ヴォスバーグS(USA-I)

ボールドネシアン系以外で繋がる可能性があるとしたらこの系統だろう。Raja Baba 産駒の Is It True はBCジュヴェナイルの勝ち馬で、その産駒 Yes It's True は種牡馬として小粒ながらも多数の重賞ウイナーを輩出して成功を収めた。同馬は残念ながら2015年に死亡してしまったが、最後の最後で出した牡馬の大物が The Big Beast で、同馬は今年度よりフロリダで種牡馬入りしており、6000ドルで供用されている。


ボールドルーラー − セクレタリアト系

<セクレタリアト系> ★☆☆☆☆ (危険)

Bold Ruler (USA) 1954
 Secretariat (USA) 1970
  Medaille d'Or (USA) 1976 USA/1979-1986
    ・コロネーションフューチュリティ(CAN-I)
   Tour d'Or (USA) 1982 USA/1991-2005
     (2着) ・ガルフストリームパークH(USA-I)
    Colorful Tour (USA) 1999 USA/2008-2011
     ・エセックスH(USA-III) ・レイザーバックH(USA-III)
  Cinco Grande (USA) 1979 ARG/1984-1986
    ・重賞実績なし
   Ibero (ARG) 1987 ARG/BRZ/1994-2008
     ・メトロポリタンH(USA-I) ・NYRAマイルH(USA-I) GI計5勝
    Iberal (ARG) 1995 ARG/2005-
      ・ラスアメリカス大賞(ARG-I)(2回)
     Ibeman (ARG) 2006 ARG
      ・コンパラシオン賞(ARG-II) ・イタリア賞(ARG-III)
  Lt. Pinkerton (USA) 1990 ARG/1997-
    (2着) ・ホーソーンダービー(USA-III)
   Deleite Pin (ARG) 2000 ARG
    ・チャカブコ賞(ARG-II)

米国史上最強の1頭に数えられる歴史的名馬で、ベルモントSで出したレコードタイムは今なお破られるどころか迫る馬さえ現れない。種牡馬としては Spectacular Bid ほどではないにしろ期待を下回るものであったことは間違いなく、父系は絶滅寸前である。辛うじてアルゼンチンで重賞馬を出せるかというところだが、存続の可能性はかなり小さいだろう。なお、母父として A.P. Indy を出しており、同馬なくしてボールドルーラー系の繁栄はなかったと言える。

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この記事へのコメント

1. Posted by ゼロウィン 2016年05月11日 09:47
セクレタリアートの父系は今も続いているんですね。
かつての動物奇想天外の特集でセクレタリアートが紹介され、そのなかの孫産駒(引退馬)が出てきて、既に父の血を引く馬は数少ないと解説されていたので既に父系は途絶えたものと思っていました。
2. Posted by わら吉 2016年05月11日 18:22
リズンスターは?
3. Posted by elfte 2016年05月11日 18:38
Lunar Sovereignが英国の障害路線に参戦してたとのことで、念のため向こうのスカイスポーツ公式サイトで確認しましたが。
……やっぱり「取って」ましたね(血涙)。
まあ、世界的に見ると取らずに走らせる日本が非常識らしいですが。
そして危険どころかおそらく消滅しているであろうワジマのライン。
吉田善哉氏の「あっさり切る慧眼」の真骨頂はワジマだったと思います。
(まあ、ポカミスも多いけど)
4. Posted by ノエルザブレイヴ 2016年05月11日 20:04
わら吉さんも触れられているセクレタリアトの牡馬の最高傑作で競走馬としてはブライアンズタイム(こちらは未だに直仔がGIに出走している)を問題にしなかったリズンスターが種牡馬としてこれといった成果を上げられぬまま早世していなければもう一つくらいは星が増えていたかもしれませんね。
ただセクレタリアトは母父としてエーピーインディの他にストームキャットも送り出していますので現代競馬における血統的影響力は非常に多大なものがあると思います。

>ゼロウィンさん
久しぶりにダビスタの話題と行かせていただきたいと思います。
PS1版ダビスタには海外供用種牡馬としてエーピーインディとリズンスターが登場していますね。両馬は格もパラメーターも似たようなものでしたが、父系としての未来はそれぞれ明暗がはっきり分かれたのは興味深いところです。
そもそもダビスタブームの象徴たる繁殖牝馬「パリティビット」のモデルこそエーピーインディの母親だったわけですからね。
5. Posted by ゼロウィン 2016年05月11日 21:43
>>ノエルザブレイヴさん
パリティビット、確かそうでしたね( ^ω^ )
あの繁殖牝馬、元の値段がメチャ高いうえにセリで赤シャツのお兄さんと社長風のオジサンが競り合って値段を吊り上げまくって平気で10億円以上いくので買ったことはほとんど無いです。
全書などで血統を調べると意外にインブリードが狙いにくい亜流血統だなと思ってましたが、それがエーピーインディに繋がるんですよね。
6. Posted by Organa 2016年05月11日 22:53
>わら吉さん
一応何頭かマイナー種牡馬が残っているようですが、父系の存続は厳しいでしょうね。

>elfteさん
やはり去勢されていましたか。さすがに米芝長距離GIをひとつ勝っただけでは種牡馬としては厳しかったと思われますが…。

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