東京大学と筑波大学は富士通と共同で、国内最速のスーパーコンピューターを構築する。理化学研究所のスーパーコンピューター「京(けい)」の4分の1の消費電力で、2倍以上の速度で計算できる見通し。今年12月から試験運用を始める計画だ。
新たなスパコンは、東大と筑波大が共同で基本設計をまとめた。富士通が実際に組み上げ、千葉県柏市にある東大の敷地内に設置する。
計算速度は毎秒約2.5京回と、理研の「京」の1京回を大幅に上回る。宇宙の成り立ちを探る理論計算や、地震や気候変動のメカニズムを解明するデータ解析、自動車などの最適形状を探る流体力学のシミュレーションなどに威力を発揮するという。
また温度に強い設計にすることで、水冷に必要な消費電力を削減。「京」の12.7メガワットに対して3.6メガワットにとどめた。
試験運用で性能を確認したうえで、2017年4月から全国の大学や研究機関とネットワークで結び、どこからでも利用できる体制を整える。
スパコンの計算速度を競う世界ランキング「TOP500」では、理研の「京」が11年に世界一になったが、最近では中国の「天河2号」や米国の「タイタン」などに次ぐ4位にとどまる。新スパコンは上位を狙える見通しという。