英女王が異例の発言 中国側一行の対応は「とても失礼」

イギリスのエリザベス女王が去年、中国の習近平国家主席を国賓として迎えた際の中国側一行の対応について、「イギリスの大使に、とても失礼でした」と発言し、女王の異例の発言として注目されています。
エリザベス女王はロンドンのバッキンガム宮殿で、10日に行われた園遊会で、去年10月に中国の習近平国家主席を国賓として迎えた際、警備の責任者を務めた女性警察官と会話を交わしました。
この中で、警察官が「ご存じかどうかは分かりませんが、あのときは非常に大変でした」と述べると、女王は「ええ、知っていますよ」と応じました。そして、警察官が中国側の一行が打ち合わせの途中で、「もうやめだ」などと述べて出ていったことに言及すると、女王は「大使に対して、とても失礼でした」と話し、調整に当たった中国駐在のイギリス大使への中国側の対応を批判しました。
イギリス王室は「女王の私的な会話にはコメントしない。国賓としての訪問は大成功だった」とする声明を出しましたが、外交に関する発言に慎重な女王の異例の発言として注目されています。
イギリスは、中国が創設したAIIB=アジアインフラ投資銀行への参加をG7=主要7か国の中ではいち早く表明したほか、原子力発電所の建設計画に中国からの出資を呼び込むなど経済面での関係強化を進めてきました。

中国ではBBCの放送一時中断

中国本土では11日、イギリスの公共放送BBCの国際放送がエリザベス女王が去年、中国の習近平国家主席を国賓として迎えた際の中国側一行の対応について、「イギリスの大使にとても失礼でした」と発言したニュースを伝えた際、画面が真っ暗になり、映像や音声が一時、中断されました。
中国側は、これまでも習近平国家主席のイギリス訪問について、「両国関係は『黄金時代』に入った」と強調してきたことから、訪問の成果に水を差すような今回の報道に、神経をとがらせているものとみられます。
BBCの電子版は中国の報道内容を分析しているBBCのスタッフの話として、「今のところ、中国国内のメディアも女王の発言を伝えていないが、このようなことは珍しいことではない。メンツが重んじられる中国にとって、女王の発言は非常にやっかいなものに違いない」と伝えています。